<< 前の記事 | トップページ | 次の記事 >> 2010年12月24日 (金)視点・論点 「レアアースの現状と課題」 東京大学教授 岡部 徹 すこし前までは、「レアアース」という言葉を聞いても、「なに、それ?」というのが、皆さんの感覚だったと思います。しかし最近は、状況が大きく変わり、広く一般に知られる単語になりました。小学生でも、一度は「レアアース」という言葉を耳にしたことがあるようです。今でも、新聞には、ほぼ毎日、レアアースに関係する記事が載っています。 おそらく、皆さんがレアアースという言葉を頻繁に耳にするようになったのは、今年の9月以降だと思います。中国と日本との間に尖閣諸島の領有問題が起こり、だ捕された漁船の中国人漁師の逮捕が、「外交問題」となりました。さらには、この「領土問題」、「外交問題」が、レアアースをめぐる「資源問題」、「貿易問題」へと発展し、今では、日本のハイ
経済産業省は19日、中国からのレアアース(希土類)の対日輸出が滞っている問題に関するアンケートを発表した。調査では、日本企業27社のうち16社が「改善の兆しがある」と回答した。停滞していた貨物が実際に船積みされたとの情報も2件寄せられた。 大畠章宏経産相も同日の会見で、「改善の兆しが出てきている。日本への輸出は通常の状況に改善されるのではないか」との認識を示し、事実上、正常化を宣言。「来週に実際に荷動きが始まることを強く期待している」と述べた。 アンケート調査は今月16〜18日に実施。改善の兆しとして、取引先の中国企業から近いうちに通関許可が下りる見通しを伝えられたり、税関から手続きに関する具体的な指示があったなどの情報が寄せられたという。 レアアース対日輸出をめぐっては、中国の通関当局が、中国の輸出業者に対し、近く日本への通関を認める方針を伝えたことがすでに明らかになっている。今月13日
世界一のレアアース生産国、中国の輸出規制が世界を揺るがしている。自動車、電機などの基幹産業では、工場が停止するリスクさえも浮上。在庫確保、脱中国依存、政府支援といった対応策の多くは幻想に過ぎない。 「今のまま輸入停止が続けば、(排ガス浄化装置向け触媒の原料で、レアアース=希土類=である)中国産の『セリウム』の社内在庫は、年明け早々に枯渇する」。第一稀元素化学工業の井上剛社長は衝撃的な言葉を口にする。 同社は、自動車用排ガス浄化装置向けの触媒で、世界シェア5割を握る。万が一、レアアースの在庫が底を突いて、触媒の生産が止まれば、国内外の自動車生産には大打撃となる。 もちろん第一稀元素化学は既に手を打っている。米国で稼働を停止した鉱山にあったセリウムの在庫を緊急輸入。「非常に不純物が多くて使いにくいが、分離・精製して使いこなしていきたい」と井上社長は説明する。 米国産の在庫を緊急輸入 米国産の原
住友商事が米国のレアアース(希土類)鉱山に進出を検討していることが22日分かった。レアアース世界生産量の9割を占める中国は輸出規制を強めており、住友商事は中国以外の調達先の確保を狙う。日米による「脱中国」の動きが本格化してきた。 進出検討の対象は、米カリフォルニア州にあるモリコープ社のマウンテン・パス鉱山。休眠状態だが2011年前半に採掘を再開し、分離や精製、精錬の設備を新設して12年末までに年2万トンの生産体制にする計画だ。 設備新設には数百億円規模の資金が必要とされるうえ、多くの関連特許を日本企業は持つ。住友商事は出資や融資を検討、技術面でも協力できないか協議している模様だ。 大手商社の双日によると、11年のレアアースの世界需要(中国内需を除く)は5万6800トンで、1万6800トンの供給不足。日本は1万トン余りの供給不足が予想され、住友商事は同鉱山から日本向け輸出を確保する。
ハイテク製品に欠かせないレアアース(希土類)について、日本とベトナムがと共同開発に乗り出す。今月31日にハノイで開く日越首脳会談で合意する見通し。世界の生産量の9割超を握る中国が、尖閣諸島沖の漁船衝突事件を機に対日輸出を制限するなど、“チャイナ・リスク”が露呈する中、同国への過度の依存からの脱却を図る。合意を受け、日本の大手商社は開発を積極化する。 菅直人首相は、東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議などに出席するため、28日からハノイを訪問し、31日にベトナムのグエン・タン・ズン首相との会談を行う予定。 ベトナム北部には、液晶パネルや電気自動車などのモーターに必要なセリウムやジスプロシウムといったレアアースが埋蔵されている。共同開発での合意を受け、日本は探査や製錬などのノウハウを提供し、産出を支援する。 ベトナムでは、豊田通商と双日がレアアース開発を進めているほか、他の大手商社も参入す
切り札 世界の生産量の95%を占めるレアアースの輸出規制で今度はアメリカを揺さぶる中国 Bobby Yip-Reuters 米通商当局は10月15日、中国が自国の環境技術部門に多額の補助金を不当に支給しているというUSW(全米鉄鋼労組)の訴えに応じて中国に対する調査を行うと発表した。クリーンエネルギー関連事業は、中国を含む多くの国々で戦略的な優先順位の高い重要な産業だと位置づけられており、中国が自国産業を優遇することによって、アメリカの産業に悪影響を及ぼす恐れがある。 アメリカのこの決定に対して19日、中国はある明確な答えを示した。ニューヨーク・タイムズ紙によれば、中国政府がアメリカに対するレアアースの輸出を制限し始めたというのだ。 レアアース(希土類)と総称されるこの17種類の元素は、最新電池や薄型テレビなどのハイテク製品や、ミサイルやジェット機などの軍備品を製造する上で欠かせないもの。
【ワシントン=渡辺浩生】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は19日、中国がレアアース(希土類)の輸出停止措置を、日本だけでなく米国や欧州諸国に広げたと報じた。中国が環境技術や軍事技術に不可欠なレアアースを政治的武器として活用している表れとみられ、中国と欧米間の貿易関係に一段と緊張が高まる可能性がある。 同紙が業界筋の話として報じたところによると、中国の税関当局が18日朝、米欧向けの輸出にストップをかけた。過去数週間、欧米向けの数種類のレアアースの出荷が遅れていたが、広範囲な輸出停止は18日に始まったという。欧米の企業は日本ほどレアアースの在庫を保有していないとみられ、影響が広がりそうだ。 米通商代表部(USTR)は先週末、中国によるレアアース輸出制限について、世界貿易機関(WTO)ルールに違反する可能性があるとして調査する意向を表明。中国は英字紙チャイナ・デーリーを通じて、来年のレアアー
19日付の中国英字紙チャイナ・デーリーは、中国がハイブリッド車やハイテク製品などに使用されるレアアース(希土類)の来年の輸出許可枠を最大30%削減する見通しと報じた。商務省当局者の話として伝えた。 中国は7月に、今年の輸出枠を前年比で4割削減するとしており、供給がさらに減少すれば、日本の自動車生産などに影響が出るとみられる。 同紙などによると、中国の採掘可能なレアアースの資源量は世界の30%程度だが、現在は世界の需要の95%を賄っている。この当局者は「今のペースで生産を続ければ、15〜20年で枯渇する可能性がある」とし、来年上半期も輸出削減を続ける必要性を強調した。 中国は環境保護などを理由にレアアースの輸出規制を強めており、中国に依存する日本は規制を緩和するよう要請している。沖縄県・尖閣諸島付近での中国漁船衝突事件の際には、レアアースの対日輸出手続きが停滞し問題となった。(共同)
中国から日本へのレアアース(希土類)の輸出が滞っている問題で、通関手続きに新たな条件が追加されていることが13日、分かった。経済産業省の輸出状況調査でも正常な状態に戻っていないことが明らかになっており、通関の申請自体をあきらめ、様子見をしている業者も出ている。 大手商社筋によると、中国の通関当局は新たに、レアアースの種類ごとに申告額が一定額以上でないと通関できないようにしているという。書類の不備の指摘や全量検査も続いており、輸出業務にさらに支障が出ている。 関係者は「通関の正常化についての指示が、(中国)政府から各税関にちゃんと下りていないという情報もある」という。別の大手商社関係者は「荷動きが望めないので、通関の申請自体をやめている状態」と話している。 同日、経済同友会の桜井正光代表幹事は定例の記者会見で、中国にほぼ全面的に依存しているレアアースについて「一国に集中するのはよくない
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1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員、信州大学経済学部教授、法政大学大学院教授などを経て、2022年4月から現職。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。 今週のキーワード 真壁昭夫 経済・ビジネス・社会現象……。いま世の中で話題となっているトピックス、注目すべきイノベーションなどに対して、「キーワード」という視点で解説していきます。 バックナンバー一覧 尖閣諸島沖の中国漁船と日本の巡視艇の衝突に端を発した日中間の亀裂は、以前から懸念されていた“中国リスク”を顕在化させる結果となった。そのリスクの具体例がレアアース(IT関連商品に使う希土類)を巡る禁輸騒動だ。 希土類は、「工業製品のビタミンのようなもの」と
大畠章宏経済産業相は5日の閣議後の記者会見で、中国から日本に向けたレアアース(希土類)の輸出が滞っている問題で、「再開されたと判断できる状況に至っていない」と述べ、中国側に近く是正を求める方針を明らかにした。 尖閣諸島近海での中国漁船衝突事件後、レアアースの輸出が事実上停止。先週になり、輸出申請や通関手続きが再開されたが、輸出全量の成分検査による規制が続いている。 経産省では、先月28〜30日にかけて、レアアースの輸出状況に関する緊急調査を実施。具体的に回答があった31社全社が「中国からの輸出に支障が生じている」と答えた。このため、引き続き、情報収集を進めながら、中国に改善を求めていく必要があると判断した。
Close Up 激動する世界経済の流れに、日本も無縁ではいられない。政治・経済、企業・産業、社会の注目テーマをクローズアップし、独自の視点、切り口で「詳説」する。 バックナンバー一覧 レアアースショックは、起こるべくして起こった事態だった。中国政府は、以前から日本にある不満を抱いていた。領土問題は対日輸出禁止の直接のきっかけにすぎない。そして今回の措置は、日本にとってまだ危機の序章だ。年末、中国政府は来年上期の輸出枠を決定する。その内容こそが、日本企業の命運を左右する。 その輸入は、突如止まった。 9月22日、環マテリアルの松尾克之会長の元に中国共産党関係者から1通のメールが届いた。「釣魚島(尖閣諸島)で船長が逮捕されたゆえに、21日付でレアアース(希土類)の禁輸が決定された」と記されていたという。環マテリアルは専門商社で、レアアースを中国から輸入していた。一連のレアアースショックの始ま
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