今回は伝応神天皇陵(誉田山古墳)を題材に、近代からのこの指定天皇陵の「美観の設計」について考えてみた。そこから、美観・景観における、「自然」に対する人為についても少し調べていくことになった。 さらに「陵墓の近代史」となると、幕末にあった「文久の修陵」事業のこと、またそれに影響与えた水戸の「尊皇派」についても知っていくことになるのだが、存外にこれらは、著作でもWEBでも取り上げが少ないようなので、ここで最後の章にて書き出しておくことにした。 記事は以下の4つのパートに分けて書いた。 【1】 伝応神天皇陵の概観と紹介 【2】 超越性のランドスケープ ―めまいズーム(ドリー・ズーム)が生じる条件― 【3】 超越性のランドスケープ ―借景式の手法― 【4】 みささぎの森の近代化へ ―幕末「文久の修陵」、明治以降の「美観」― 文久年間以前の様子 文久修陵でかかった費用について 近代
掲載が遅れて申し訳ありません。以下、当日のレジュメからの抜粋です。 鎮守の森の変遷 小椋 純一(京都精華大学)2006/07/08 1.はじめに 鎮守の森(社叢)には、ふつうの森林には見られない珍しい樹木や巨木などがしばしば存在する。そのため、その自然が高く評価されることが多い。関東地方低地部を含む日本南部における典型的な鎮守の森は、常緑広葉樹林(照葉樹林)であり、それは古くから人の手があまり入ることなく続いてきたものと考えられることが多い。下記の本の記述も、そのような考えに基づくものである。 「入らずの森」にはどんな木があるの? ツバキの葉っぱを想像してください。葉っぱは大きくて、厚ぼったくて堅いでしょう。こういう葉っぱの木は、冬になっても青々としています。逆にいえば、寒い冬にも葉っぱが枯れないために葉っぱを厚ぼったく堅くした、といえるでしょう。 これらの木は、落葉樹や針葉樹ではなく常緑
福井県にある鳥浜貝塚からは石斧柄、弓、尖り棒など変化に富んだ木製品が豊富に出土。使われた樹種はスギ、ヤナギ、クリをはじめ30種にものぼり、それぞれの樹種の性格を充分に理解した木材の使い方が既に実践されていたようです。 有史時代に入ると、水田耕作の肥料としても森が使われるようになりました。落ち葉や草木の若芽・若葉を刈り取り、田の中に踏み込んで腐らせる「刈敷」がそれです。風土記には、松脂、榧子(かやのみ)など様々な草木が薬用に使われていたことが記されており、人々の知恵による森活用の幅が広がって来たことがわかります。 その一方で、建築用の木材需要増加や水田開拓のために森林乱伐が進みました。日本書紀によると、天武天皇が、飛鳥川上流の畿内の草木採取と畿内山野の伐木を禁止する勅を発令(676年)。これは、森林伐採禁止令の最古の記録とされています。 平城京、平安京の建設、寺社仏閣の建築ブームなども相まっ
マツとシイ〜森の栄枯盛衰 原田洋 磯谷達宏 著 この本は、「現代日本生物誌」シリーズの6巻目である。この「現代日本生物誌」は現代社日本に生きる生物の現状に焦点をあて、その生きざまを描写することをつうじて、変貌の激しい現代社会にふさわしい自然のとらえ方を考えることをねらいとしている。この本の特色としてまず挙げられるのは、二つの生き物を取り上げていることだろう。その理由としては、二つの生き物を取り上げることによって、一つの生き物を取り上げただけではわからない、現代を生き抜こうとしている生物のより本質的な特徴を明らかにすることができるからだとしている。二つの生き物には、それを捉える共通の視点が用意されている。もう一つの特徴としては、執筆者による座談会が集録されていることであろう。筆者によって生き生きと描かれた生き物たちの今の姿を、編集をまじえた座談会で示される共通の視点で見つめなおすこ
里山。 なんとなく懐かしくて、風景や風の匂いまで感じられそうな言葉です。 しかし、実は近年になって広く使われるようになった言葉なのです。 里山は、伝統的な農村の暮らしを支えてきた自然です。 薪や炭の材料を採り、肥料にする落ち葉を集めた林のほか、 田畑、小川、草はら、ため池、屋敷などが調和して、 落ち着いた景観を作っていました。 適度に人の手が入り、さまざまな環境に恵まれた里山は、 植物や動物にとっても豊かな環境だったので、 生きものたちのにぎわいがありました。 半世紀前まで、このような身近な自然は、ありふれたものでした。 ところが、高度経済成長期を通して、化石燃料が生活に浸透するようになると、 私たちは身近な里山に価値を見いだせなくなり、 手を入れることをやめ、そして失っていきました。 里山とかかわる人びとの知恵や技、考え方も手放しました。 次第に、里山をすみかとする生きものたちも、姿を消
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