フェリス女学院大学文学部教授 諸橋 泰樹 各自治体において、男女共同参画に関する条例や基本計画策定に向けての検討が行われています。それに併せて、メディアにおける男女共同参画を考えるための「公的広報のガイドライン」づくりが国や自治体で進められています。広報、とりわけ行政広報になぜ男女共同参画の視点が必要なのかを、ジェンダー(社会的・文化的につくられた性差)とメディアに詳しいフェリス女学院大学教授の諸橋泰樹さんに語っていただきました。 人の性別や「らしさ」を決定づける家庭、学校、情報環境 人間には、二つの性別があるといわれています。一つは、医学的、生物学的、動物学的性別のことで、学術用語で「sex」といいます。もう一つは社会的・文化的性別――「社会的・文化的につくられた性差」ともいわれていますが――これを一般的に、「ジェンダー(gender)」と呼んでいます。1970年代ごろから、性科学や性心