森の気配─白昼夢としてのイノデータブノキ群集 | 石川初 Sense of the Forest: Polysticho-Machiletum Thunbergii as Daydream | Ishikawa Hajime ある土地に生えている植物群を総称して「植生」という。植生を構成している植物群落は、その土地の環境に応じて、それぞれ特有の出現比率や組み合わせのパターンを作ることが知られている。似たような立地条件のもとではほぼ同じようなパターンが発現するし、何らかの条件が大きく変化すればそれにつれて植生も変化を見せる。植生は環境条件を強く反映する一方で、その条件に働きかけ、それ自体が環境を作りもする。生態学は、植物の単体ではなく、こうした「群」の組成や振る舞いに注目し、「系」を記述しようとする。 群落の特徴と立地環境条件との間に、ある特定の対応関係を見出して、より上位の植生単位に分類、