日本近世社会の根本概念を疑う。 中世から近世への社会転換を示す重要要素とされる「兵農分離」。 いま、この概念の存在自体が揺らいでいる。時代の変化はどのように訪れるのか。 最新の研究成果から実態に迫る。 はじめに──わかるようでわからない兵農分離 序章 兵農分離の多面性をさぐる 研究概念としての兵農分離 通説の中の兵農分離 同時代人の兵農分離観 兵農分離への疑問 本書の視角 第一章 兵農分離は軍を強くするのか 軍隊と兵農分離 武家奉公人とは 武家奉公人の供給形態 近世の兵と武家奉公人 第二章 戦場に行くのはどのような身分の人なのか 兵以外の身分の戦闘参加 戦国大名の百姓動員 百姓動員の原理 軍役衆と郷士 中世と近世の兵身分 第三章 「身分法令」と人掃令はなにを目指したのか 「士農工商」について 「身分法令」と奉公人 朝鮮侵略と奉公人の確保 「身分法令」と百姓 人掃令の年代 人掃令の位置づけ