今から2億5000万年余り前、地球上に住む多細胞の生き物は、その歴史上最大の危機を迎えた。海にいた生き物の種の9割近く、属の8割、科のレベルでみても半数近くが姿を消した大絶滅がおこったのである。 著者のアーウィンは、永年この大量絶滅の実像と、それを引き起こした原因を研究してきた。本書には、最近10年近くの研究で、この大量絶滅が二つの絶滅時期に分けられたこと、さらに二度目のペルム期末の大量絶滅は、精密な年代測定の結果、おそらく16万年間よりもっと短い期間に起こったらしいことなど最新の成果が紹介されている。 また、アーウィンは、殺人事件の犯人捜査をあつかった推理小説のような筆遣いで、絶滅の原因とされる候補について一つ一つ吟味してゆく。隕石や彗星の衝突、宇宙に充満するダークマター候補の一つである WIMPsが地球に降り注いでガンを起こすと共に、地球の核に集積して巨大な火山活動の引き金になったとい