・欲望の植物誌―人をあやつる4つの植物 人間が品種改良したからではなく、植物は自ら周囲の動物の欲望をあやつることでこそ今の姿になったのだという独特の視点に立った共進化論と歴史学のエッセイ。本書で取り上げられる4つの植物とそれらがあやつる人間の欲望は以下の通り。 リンゴ → 甘さ、甘いものが欲しい チューリップ → 美、美しいものを手に入れたい マリファナ → 陶酔、ハイになりたい ジャガイモ → 管理、自然を管理したい 人間はこうした欲望を満たすために植物を利用しているが、逆に植物の視点に立てば、人間に運ばれ食べられることで広域に繁殖することに成功している。 たとえばリンゴはタネが熟すまでは目立たない緑色で甘味もない。タネには毒があって果実しか食すことはできない。だからタネは果実を食べた動物によって運ばれ、未消化のまま地面に落とされる。かくしてリンゴは動物が求める果糖と引き換えに分布域を拡