『恋空』を読む(1):ケータイ小説の「限定されたリアル」 2008年1月15日 ITカルチャーメディア コメント: トラックバック (1) (これまでの濱野智史の情報環境研究ノート」はこちら) ■1. 分析を始める前に――『恋空』に対する2つの立場 ずいぶんと旬は過ぎてしまった感はあるのですが、今回は少し趣向を変えて、2007年に話題を集めたケータイ小説作品、『恋空』(スターツ出版、2006年)について分析してみたいと思います。 さて、分析を始める前に、いくつか確認しておきたいことがあります。昨年から(おそらく映画が公開されヒットを記録したのを境に)、ネット上では――ケータイ小説のメイン読者層ではなかった人々の間で――、この作品をどのように位置づけるのかをめぐって議論がなされていました。筆者もそのすべてをきちんとフォローしているわけではありませんが、ある程度概観しておくならば、それは大きく
二日連続でいちおし。 まっぷたつの子爵 (ベスト版 文学のおくりもの) 作者: イタロカルヴィーノ,Italo Calvino,河島英昭出版社/メーカー: 晶文社発売日: 1997/08/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 28回この商品を含むブログ (25件) を見る そしておまえはすべてのものがまっぷたつになることを望むだろう、おまえの姿どおりにすべてのものがなることを。なぜなら美も、知恵も、正義も、みな断片でしか存在しないからだ。(78ページ) 「われらの先祖」三部作の第一作にして、カルヴィーノの転機となった作品。トルコとの戦争で大砲に撃たれ右半身だけの身体となったメダルド子爵は、悪の権化となって領内に君臨する。そこへ、善の化身のような残りの左半身がやってくる。 メダルドの甥の少年による一人称語りで語られるのだが、この語りがこの小説の第一の魅力。凄惨な戦争の情景も、メダル
少女愛文学の八冊目(村岡花子訳、新潮文庫)。 いまさら「赤毛のアン」なんて……と思っている人は多いだろう。私もそうだった。といっても、この「いまさら」には二通りの意味がある。ひとつは、子供のころ読んでおもしろかったが、それをいまさら云々するのは……というもので、もうひとつは、読んだことはないけれど、あまりに有名なのでいまさら読むのも……というもの。 私の「いまさら」は後者。なにしろ「赤毛のアン」ときいただけで一定のイメージが脳裏に浮かんでしまうのだから。ところが本書を一読するにおよんで、これがまったくのイリュージョンだったことが判明した。私はアンの小指の先っぽすら知らなかった。 私は子供のころ学校などですすめられる児童文学をほとんどといっていいほど読んでいない。あとから考えてみるとだいぶ損をしているようだが、しかしそういう幼少時の読書の貧困のせいで、この年になって児童文学のおもしろさを味わ
文章から「人」を感じたときに使いたくなった言葉のことなどを、忘れないうちに書き留めておきたいと思います。 「中の人がもやもやと文章から立ち上がってくる感覚」 たとえば普段購読しているブログから、書いている人の嗜好や考え方がいつも以上に伝わってくるような文章に触れたとき。ブックマークする場合など、コメントについ感想を添えたくなることがある。 「中の人がもやもやと文章から立ち上がってくる感覚」を簡潔に説明するにはどのような言葉を選べば適当なのだろうか、思いつきを並べれば以下のような感じだろうか。 香り - 「中の人の香りを感じました」 洗練された、ややかしこまったイメージ。 ともすれば、当人が意識して漂わせるもの。 「香水の香り」 いわゆる褒め言葉ではあるのだろう。 だが華美で希少性が高いゆえに、その場で完結してしまう。親密、というニュアンスはおそらく含まれていない。 「もう少しその人の文章を
つまり、そこに含意を見つけようとする解読、有用な説法を求めるような読み方は、もうしなくてもいいのではないか、という仮説である。『新潮』4月号の『東京奇譚集2 ハナレイ・ベイ』と『文学界』4月号の『村上春樹ロングインタビュー アフターダークをめぐって』を併読すればこの仮説の蓋然性をなんとなくは理解いただけるかもしれない。 『ハナレイ・ベイ』は、前回の『偶然の旅人』のようなポール・オースター的シンクロニシティを引き受けるわけではないオリジナリティを感じさせる物語である。鮫により足を食いちぎられ絶命してしまったサーファーの息子の軌跡をたどり、その命日には必ずホノルルのハナレイの町で過ごす母親の話である。しかし、自分だけが、片足のサーファーの亡霊に遭遇することができず、そのことに悔恨を感じるというくだりにより「奇譚」としてカテゴライズを与えられてる。 なんの前触れもなしにネタをばらしてしまい申し訳
なんの情報価値もないのだけれど、こんな広告でも垂れ流さなければ経費を贖えないのですよ、というのなら、あと100円か200円購読料金をあげてもらってもよいので、曳き船にのせられた偽芸術をのせるのはもうやめてほしい。って思ったけど、これはこれで喜ぶ生活者も多いんだろうなあ。ただなあ、朝日だからなあ。参加しているクライアント企業も仲間内っぽいしなあ。まあ、仲間じゃない人たちはわかってるわけだから、どーでもいい話か。そもそも、そんなにたいした情報がある製品でもないからこの程度のコミュニケーションでも充分なわけだ。なら、広告なんて打つ必要ないのかもしれないけど、像づくりのための必要悪ってことかな。でも、だいたいにおいて新聞社主催のお祭り企画ってのは広告の基本的な機能をスポイルしてしまうことが多いね。いやほんと、どーでもいい話なんだけどね。 それはさておき本題。 まるで、村上春樹の原石でもあるかのよう
私たちの仕事はものを製造することではない。クライアントのマーケティングとマーケティング・コミュニケーション策定作業をサポートするサービスである。したがって、商品や営業現場の実態、さらには事業構想について知見はクライアントにかなわないとしても、生活者への洞察、思考の整理法、コミュニケーション効率、正しい言葉といった知識については、たとえ微差であっても、つねにクライアントの先を行くべく努力を重ねなければならない。同時に、先にあげたようなクライアント固有の知識については、つねに教えを請う姿勢で臨まなければならない。 つまり、学び続けなければ私たちの仕事は成り立たない、ということだ。こういう言い方をするとすぐに、OK、じゃあ教えてください、研修を!といった発想になる人がいる。もちろん、研修といった制度的な学習機会は重要だし、学習の根源では人との対話がかかせない、いやむしろ対話こそが学習だ、といえる
この現実は仮想現実か 我々の現実は実は全て仮想現実、研究者が奇抜な論文発表 - Technobahn 痛いニュース(ノ∀`):「我々の現実は実は全てコンピューター内に作られた仮想現実」…研究者が奇想天外な論文発表 その論文は読んでいないので、論文自体の話はできないが、仮想現実に関する議論は以前からあり、別に今までなかった主張ではない。例えば、「オメガ点理論」がある。ここでは、物理学的な議論より広い、仮想現実論・シミュレーション論を見ることにしよう。 まず、シミュレーション論の主張を、デザイン論と区別しよう。シミュレーションにデザインは不可欠ではなく、デザインは単なるシミュレーションではない。この両者の関係にはやや複雑なところがあるが、説明が長くなるので注に回す*1。 さて、シミュレーション論の論理展開は、だいたいこんな感じだ*2。 シミュレーションが可能になる前に科学文明が滅亡せず、技術に
「言わぬが花」 「新風舎問題」と「素人と専門家の深すぎる溝」 - 琥珀色の戯言 70歳という年齢まで、頑張って貯蓄をしてきて、残りの人生の長さを考えたとき、やっぱり何か「形になるもの」を残したい、という気持ちが出てくるのは、おかしいことでもなんでもないような気がします。本人は「売れると思って」って仰っていたそうですが、「自分が生きていた証を残しておきたい」という気持ちもあったのではないかと。「本」っていうのは、たしかに、かなりわかりやすい「自分が生きていた証」のひとつの具体的な形でしょうから。 それでも、「真実」を知りたい? - 琥珀色の戯言 僕が新風舎に言いたいのは、「どうせ騙すなら、もっとうまく騙せよ……」ということなんですよ。こんなふうに、すぐにメッキが剥がれて相手を失望させるような騙し方じゃなくて。こう言っちゃなんだけど、酒造メーカーやタバコ会社、日本中央競馬会やパチンコ産業は、も
この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。 出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方) 出典検索?: "アニメーション映画" – ニュース · 書籍 · スカラー · CiNii · J-STAGE · NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL (2008年6月) アニメーション映画(アニメーションえいが、英: Animated movie)は、映画館で公開する映画として製作されるアニメーション(アニメ)映像作品。略称としてアニメ映画、そのほか映画館を劇場と呼ぶ慣習から劇場用アニメーション・劇場版アニメーション・劇場版アニメ等も表記や名称として使用される。 テレビアニメが登場するまでは、アニメーションといえば映画館で上映されるアニメーション映画を指した。 日本では学校教育において上映される映画は教育映画とされ、
「まなめはうす」被リンク数ランキング (2007年版) - August Dojin Data Base 上位102サイトに一挙コメント!こういう無駄に時間かかる作業を丁寧にこなすのがまなめクオリティ!てゆーか、全然丁寧じゃねえw 96位 アンカテ(Uncategorizable Blog) http://d.hatena.ne.jp/essa きっかけはp2pについて良く書いていた頃に巡回リストにいれたような。考察が深いです。 96位 『斬(ざん)』 http://blog.goo.ne.jp/souryuusei0401 残念ながら2007年4月10日に更新停止されてしまいましたが、良いサイト論を考察してくれた方でした。復活お待ちしております。 96位 フラン☆Skin はてな支店 http://d.hatena.ne.jp/furan フランさんのセンスが自分に合ってて好きです。先日
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く