「新システム? 現行通りの仕様で作ってくれればいいよ」 「その“現行”が分からないんですけれど……」 「………」 禅問答のようなこのむなしいやり取り。筆者もさまざまなIT職場で見聞き(筆者もSIer勤務時代に体験)している。 「現行通りでお願い」――悪気なく発せられるこのフレーズ。「あ、現行通りでいいんですね。ならばラクだ!」と喜んではいられない。IT職場を混乱に陥れる「悪魔のフレーズ」なのである。 「現行でお願い」 「現行が分からん」 「設計書が欲しい」 「設計書が見当たらん」 「相談しよう」 「そうしよう」 …… 「決まらん!」 はないちもんめさながらの会話が今日もどこかのIT職場で繰り広げられている。なぜ、こんな始末になってしまうのだろうか。主立った原因を見てみよう。 原因1:要件定義書や設計書が無い/アップデートされない ドキュメントを残さない。要件定義書も設計書も作っていない。文