毎週金曜日に無料で配布される食料品をもらうため、星条旗柄のマスクをし、数百人の列に並ぶ84歳のマリア・キンテレス。米国最大の飢餓救済団体「フィーディング・アメリカ」によると、2020年には約4500万人もの米国人が食料不安に陥ったと考えられる。(PHOTOGRAPH BY NATALIE KEYSSAR) パンデミックにより、十分な食事をとれない米国人が急増している。多くの人にとって、慈善団体や近所の人の助けが頼みの綱だ。 朝5時半。たいていの人はまだ寝ている時間だが、87歳のベシー・ブルックスはもう家を出る。 米国アラバマ州ラウンズ郡で、困っている人たちに食べ物を配るためだ。 ジャーナリストとしては、彼女を「ブルックス」と名字だけで呼ぶべきだろうが、目上の人に対する私なりの礼儀として「ミセス・ブルックス」と呼ばせてもらう。彼女はかつて、ラウンズ郡の訪問介護員として30年間働いていた。仕事