……雪蟷螂の愛は深すぎる。それが希望でもあり、また等しく絶望のようにも見える。彼女の恋情は……なにかを起こすのかもしれないね。 冬の山脈に暮らすフェルビエ族とミルデ族の間で長きに渡り続いた氷血戦争はこの儀をもって終結を向かえるはずだった。それは、ふたつの部族の族長同士の政略結婚。しかし、フェルビエの族長・アルテシアがミルデ族長・オウガの元を訪れたとき、この約束の儀は何ものかの思惑により阻まれることになる。想い人を喰らう“雪蟷螂”とまで呼ばれるフェルビエの女たち。様々な想いが交錯し、舞う厳冬の山脈の春はまだ遠い。 年に1冊というスローペースながら、相も変わらず魅了されてしまう物語を紡ぐ紅玉いづきの3つめのお話。曰く「最後の人喰いの物語」だとか。 なるほど、最後を飾るにふさわしいお話と感じました。深く深く、激しく激しい、女たちの愛の物語。愛した男を喰らうとまで言われる“雪蟷螂”の女たち。この物