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ブックマーク / blog.goo.ne.jp/toyodang (29)

  • 科学立国の危機は続く - ある医療系大学長のつぼやき

    ずいぶんと長くブログを休んでいましたが、今回、何人かの人に背中を押されて、思い直して、久しぶりに更新を再開することにしました。 2019年2月に「科学立国の危機」(東洋経済新報社)を上梓してから2年半が経過しましたが、拙著は、思いがけずも多くの方々に読んでいただいたようで、この間、新聞紙上でも紹介され、いろいろな研究会、学会、大学などで、お話をさせていただきました。新たな分析もずいぶんと加えましたが、やはり、講演だけでは、多くの方々にデータを共有していただくことは困難です。 また、拙著に関して何んかの方々からご質問をいただき、その都度、回答をさせていただいたのですが、それぞれのご質問に回答をしても、それが多くの人に共有されるわけではないので、やはり、効率が良くありませんね。そして、残念なことに、日の科学競争力は改善するどころか、引き続き低下を続けているようです。拙著を刊行したことで、私の

    科学立国の危機は続く - ある医療系大学長のつぼやき
  • 果たして日本の大学の研究生産性は低いのか? - ある医療系大学長のつぼやき

    統合イノベーションン戦略などの閣議決定文書を読むと、政府は公的研究費や研究者数は先進国と遜色なく、問題は日の大学の研究生産性が低いことであると断定し、そして、国立大学の研究生産性を高めるために、いっそう厳しく共通指標で評価し、基盤的な運営費交付金の大幅な傾斜配分(メリハリ)をしようとしています。 この政策は、日の大学の研究生産性をいっそう低下させ、海外先進国との研究力の差をさらに拡大すると想定されます。 そもそも、日の公的研究費と研究者数が先進国と比較して遜色がなく、そして、日の大学の研究生産性がほんとうに低いのでしょうか? 僕の著書では、日の公的研究費と研究従事者数は先進国と比較して約1.5~2倍以上の開きがあり、研究生産性は遜色がないという結論を述べています。なぜ、このような最も基的で重要ななデータの判断が異なるのか、不思議でなりません。 昨年末に、文部科学省科学技術・学術

    果たして日本の大学の研究生産性は低いのか? - ある医療系大学長のつぼやき
  • ネイチャーの「日本の研究力失速」記事と研究開発費9千億円上積みニュース - ある医療系大学長のつぼやき

    鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog 久しぶりのブログ更新です。 この1か月で学術関係で2つのニュースがテレビや新聞で報道されましたね。一つは、英科学誌ネイチャー・インデックスによる「日の研究力失速」の記事ですね。(英文記事のリンクも貼っておきます。) この記事については報道機関のコメントや社説、あるいはウェブ上でも意見がいろいろと交わされました。ただ、ネーチャー・インデックスが国立大学の運営費交付金の削減を要因の一つに挙げている点については批判的なコメントが多く、一例を挙げれば日経バイオテクonlineの「日の科学研究の失速を運営費交付金のせいだけにしてよいのか」という記事など、多数あります。 運営費交付金削減の影響については、今まで僕が相当なデータで分析し根拠をお示ししてきたつもりなのですが、一般の方々になかな

    ネイチャーの「日本の研究力失速」記事と研究開発費9千億円上積みニュース - ある医療系大学長のつぼやき
  • 衆議院議員河野太郎氏への公開討論記事修正版:研究関係のデータの読み方について - ある医療系大学長のつぼやき

    鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog 最近、衆議院議員の河野太郎先生が、「研究者の皆様へ」「続研究者の皆様へ」・・・・という一連のブログで、研究者のみなさんと議論をしておられます。サイエンス・トークスというサイトを運営しておられる湯浅さんから「衆議院議員河野太郎氏への公開討論記事」への投稿を依頼され、その記事がアップされています。河野先生にも、届けていただけるとのことです。 ただ、あまりに慌てて書いたので、ミススペルもいくつかあり、誤解を招きやすい表現もあるので、修正をした文章を、このブログでアップしておくことにしました。主旨は、まったく変わりません。 ************************************ 研究関係のデータの読み方について 鈴鹿医療科学大学長(元三重大学長)  豊田長康 河野太郎先生

    衆議院議員河野太郎氏への公開討論記事修正版:研究関係のデータの読み方について - ある医療系大学長のつぼやき
  • FTEという概念の重要性(国大協報告書草案20) - ある医療系大学長のつぼやき

    鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog 国立大学協会へ提出する報告書の完成を急がねばならないのですが、OECDのデータを中心とした学術論文数の国際比較にずいぶんと時間を費やしてしまったので、ちょっと予定が狂ってしまいました。これから、いよいよ、論である国立大学の論文数のデータの分析に入ります。 OECDの分析で、大学のFTE研究従事者数と大学への研究開発資金(FET考慮)によって、国家間の学術論文数の差異がほとんど決定されるということがわかりましたが、果たして日の国立大学の場合にも適用できるかどうか、というところが焦点です。しかし、ここで、大きな問題があります。日は、今まで政策的にFTEという概念がなく、大学のFTE研究従事者数やFTEを考慮に入れた大学への研究開発資金というものが計上されていないんです。したがって

    FTEという概念の重要性(国大協報告書草案20) - ある医療系大学長のつぼやき
    ivory_rene
    ivory_rene 2014/09/15
    「FTEはきわめて重要な概念であり、政府には、早急にFTEに関するデータを日常的に収集し、政策決定や予算配分に活用することをお願いしたい」
  • 興味深い国立大学論文数の変動パターン(国大協報告書草案21) - ある医療系大学長のつぼやき

    鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog 今日は、国立大学の論文分析シリーズの2回目ですね。2004年の国立大学法人化後の国立大学の論文数の変動は、実に興味深いパターンを示しています。先進国で論文数が停滞~減少することは稀有な現象であり、なかなか観察する機会がないのですが、日はまさに、その社会実験場かもしれません。それが国立大学の法人化と時期を同じくして起こっているので、近隣諸国は日の大学法人化が成功したのかどうか、疑問の目で見ています。 日の論文数を分析するだけで、ひょっとしたら、Natureなどに載せてもらえる可能性があるのではないかとも思います。ただ、先日のブログでも申し上げましたが、日ではFTE研究従事者数およびそれにもとづく研究開発費の統計が日常的にとられておらず、十分な分析ができないことが致命的ですね。

    興味深い国立大学論文数の変動パターン(国大協報告書草案21) - ある医療系大学長のつぼやき
    ivory_rene
    ivory_rene 2014/09/15
    「先進国で論文数が停滞~減少することは稀有な現象であり、なかなか観察する機会がないのですが、日本はまさに、その社会実験場かもしれません。それが国立大学の法人化と時期を同じくして起こっているので…」
  • 授業改善・大学改善の秘訣=顧客(学生)の立場に立ったPDCAを粘り強く回すこと - ある医療系大学長のつぼやき

    「何時ものように、失礼なこと、勝手なことを申し上げます。それは、学生さんのアンケートの結果が、良いこと、褒め言葉ばかりで、欲を言えばが殆どないことです。勿論、QC活動で、発表の講評をする立場と、アンケート等に答える学生の立場とは異なりますが・・・。よく分かりませんが、アンケート等の結果が満点に近いということは良いことでしょうか?」 まったく、おっしゃる通りですね。アンケートでもっとも重視すべきものは批判的意見です。以前のブログでもご紹介しましたが、僕は毎回の授業で学生さんに無記名のアンケートをとっています。学生に責任のある回答を求めるために記名のアンケートにする先生も多いのですが、僕は、記名にすると批判的意見が少なくなる可能性があると考え、あえて無記名にしています。

    授業改善・大学改善の秘訣=顧客(学生)の立場に立ったPDCAを粘り強く回すこと - ある医療系大学長のつぼやき
  • 法人化後の国立大学の学術論文数の推移とその要因の分析(その4.注目度の国際比較) - ある医療系大学長のつぼやき

    鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog 2)日の学術論文の「注目度」の国際比較 相対インパクト(Impact Relative to World)は、全世界の論文の被引用数(注目度を反映する)の平均を1として、各国の論文の平均被引用数を相対的に示したものである。ある国の相対インパクトが1.5ということは、その国の論文の平均被引用数は、世界平均の1.5倍であることを意味している。図13に示すように、ヨーロッパ諸国の相対インパクトは近年急速に上昇している。一方日の相対インパクトは近年上昇しているが、その上昇率は他の先進国に比較して緩徐であり、最近ようやく世界平均の1を超えたところである。中国を初めとする新興国の相対インパクトは、日よりも低いものの、近年急速に上昇しており、日に肉薄している。 <含意> 論文の被引用数は

    法人化後の国立大学の学術論文数の推移とその要因の分析(その4.注目度の国際比較) - ある医療系大学長のつぼやき
  • 法人化後の国立大学の学術論文数の推移とその要因の分析(その3.方法の追加と国際比較1) - ある医療系大学長のつぼやき

    科学技術・学術政策研究所では、InCites™では分析ができない高度な分析も行っている。たとえば、科学技術指標20131)のp126 には、先にも述べた分数カウント法による世界主要国の論文数のデータが掲載されているが、この分析を行なうことはInCites™では不可能である。また、Top10%(Top1%)補正論文数のデータが掲載されているが、この分析もInCites™では不可能である。なお、Top10%(Top1%)補正論文数とは、被引用回数が各年各分野で上位 10%(1%)に入る論文の抽出後、実数で論文数の 1/10(1/100)となるように補正 を加えた論文数を指し、これは注目度の高い論文数を反映すると考えられる。 報告では、InCites™による分析のデータに加えて、科学技術・学術政策研究所の分析結果を適宜引用しつつ、説明をしていくこととする。 2.結果 (1)日の学術論文数の国

    法人化後の国立大学の学術論文数の推移とその要因の分析(その3.方法の追加と国際比較1) - ある医療系大学長のつぼやき
  • 法人化後の国立大学の学術論文数の推移とその要因の分析(その2.方法) - ある医療系大学長のつぼやき

    「方法」の記載は、ブログの読者にとってはあまり面白くない部分だと思います。ただし、論文や報告書は、この「方法」がきちんと書かれていないと、まったく信用されません。僕も論文の査読をした経験があるのですが、査読者が最も重点的に査読をする箇所が「方法」です。「結果」については、著者の主張が正しいのか間違っているのか、追試をしない限り確かめようがありませんからね。「考察」も論理の矛盾や飛躍がある場合は指摘をしますが、そうでない場合は、どのようなことをお考えになったとしても、間違っているとは言えません。 今回の報告でも、できるだけ「方法」をきちんと記載し、追試をすれば誰でも同じ結果が出る報告書になるように心がけます。そうすると、一般の読者には「方法」の箇所がずいぶん退屈なものになってしまいますけどね。一般の方は、この箇所は読み飛ばしていただいて結構ですよ。 1.方法 (1)分析に用いたデータの入手方

    法人化後の国立大学の学術論文数の推移とその要因の分析(その2.方法) - ある医療系大学長のつぼやき
  • 法人化後の国立大学の学術論文数の推移とその要因の分析(その1) - ある医療系大学長のつぼやき

    鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog 昨年、国立大学協会から「運営費交付金削減による国立大学への影響・評価に関する研究」というお題を頂戴して、なかなか時間が取れない中で、一人だけでぼちぼちと分析を続けてきました。その分析結果のプレゼンを2月6日に国大協でさせていただいたのですが、不十分な箇所があり、引き続いて今日まで分析を継続していました。 データの分析というのは、実際自分でやってみるとほんとにたいへんな仕事だということを実感します。今、”ビッグデータ”と言葉がマスコミ等でもさかんに取り上げられていますが、その課題として、分析の専門家が不足しているということが言われていますね。僕の分析しているデータはビッグデータには当たりませんが、データの適切な分析は、それなりの能力をもった人しかできないと感じました。僕に、その能力が

    法人化後の国立大学の学術論文数の推移とその要因の分析(その1) - ある医療系大学長のつぼやき
  • 果たして人間性を教育することは可能だろうか? - ある医療系大学長のつぼやき

    鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog 今回は、前回の教育についてのブログの続きです。前回のブログでは、鈴鹿医療科学大学理学療法学科2年生の「救急医学概論」の講義で、クリッカーを使用して、学生による授業評価の点数が大幅に改善し、4.9という、ほぼ限界の値にまで上がったことを報告しました。それまでは、学生のアンケートを毎回とって、いろいろと授業を工夫してきたのですが、4.2~4.5どまりでした。それが4.9に突然上がったのですから、やはりクリッカーの使用が大きな理由になったことは間違いがないと思います。 ただし、クリッカーだけではなく、僕が以前から実行していることですが、毎回の授業で学生のアンケートをとって、改善できることは次の授業ですぐに改善するという、毎回の授業でPDCAを回すということが、とても大切だと思っています。

    果たして人間性を教育することは可能だろうか? - ある医療系大学長のつぼやき
  • 学生による授業評価の点数はどこまで上がったか?(クリッカーの効果とブレインルール) - ある医療系大学長のつぼやき

    鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog 4月19日のブログで学生による授業評価の点数はどこまで上げられるか?(クリッカーの効果)と題するブログを書き、6月5日に僕の授業のことが朝日新聞紙上に掲載されたことをご報告して、その後、前期の授業が終了して最終的にどうなったのかを、読者の皆さんにまだご報告していませんでしたね。 そんなことで、論文数についての議論をしている真っ最中なのですが、ちょっとここで、一息ついて教育の話をはさむことにします。題して「学生による授業評価の点数はどこまで上がったか?(クリッカーの効果とブレインルール)」です。 前回のブログでは、クリッカーを授業で使ってみて学生たちから良い感触が得られたことをご報告しましたね。下の写真のタイトルには「授業改善の秘密兵器」などと書きましたが、中教審の答申にも出てくる言

    学生による授業評価の点数はどこまで上がったか?(クリッカーの効果とブレインルール) - ある医療系大学長のつぼやき
    ivory_rene
    ivory_rene 2013/09/26
    “、授業で説明をしたら学生に伝わっている、あるいは学生が覚えていると思っていたら、大間違いですぞ!!”論旨と違うけど
  • 10月19日激論が予想される研究力シンポジウムの練習(1) - ある医療系大学長のつぼやき

    鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog 台風18号が過ぎ去り、今日は秋晴れの天気でしたが、被害に会われた皆さんのことを思うと、複雑な気持ちになりました。 さて、前回のブログで10月19日に「日の研究力を考えるシンポジウム」が開催されることを紹介させていただきました。 第1回ScienceTalksシンポジウム開催!「日の研究力を考える -未来のために今、研究費をどう使うか-」 日時:2013年10月19日 (土) 13:00~17:00 会場:東京工業大学 蔵前会館 くらまえホール http://www.sciencetalks.org/ja: 財務省の神田眞人さんや文科省研究振興局の菱山豊さんもプレゼンされる予定で、熊大学長の谷口功さん、中部大学理事長兼総長の飯吉厚夫さん、藤田保健衛生大学の宮川剛さん、政策研究大

    10月19日激論が予想される研究力シンポジウムの練習(1) - ある医療系大学長のつぼやき
  • 僕が「論文数は金(かね)次第!!」と確信した理由 - ある医療系大学長のつぼやき

    鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog 2020年のオリンピック開催地が東京に決まり、そのニュース一色の土日でした。すべてにわたって内向きで縮小してきたわが国が、これからはいけいけどんどんで、イノベーションが、そして成長が加速していくようになればいいなと思います。 さて、大学セクターにおけるイノベーションの指標である論文数について、しばらく前に僕が皆さんに「論文数は金(かね)次第」であると確信した理由をお話しすることをお約束してから、ずるずると日が経ってしまいました。 今までのブログで、僕は、日が国際競争に勝つためには論文の質だけではなく数が大事と主張し、そのためには広義の研究費総額を増やす必要があると主張してきました。前回のブログでは、論文の再現性(質の1つ)についてのコメントに、僕もコメントさせていただきましたね。

    僕が「論文数は金(かね)次第!!」と確信した理由 - ある医療系大学長のつぼやき
  • 論文の再現性について - ある医療系大学長のつぼやき

    鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog 夏休みなのですが、文科省関係のいくつかの審議会の委員を務めていて、けっこう宿題があってブログの更新が遅れてしまいました。前のブログの続きを書かないとね。 でも、その前に前回のブログのコメントで11jigenさんから、最近、論文の再現性の低いことが問題にされていることが書かれていますので、ちょっと僕のコメントも書いておきます。僕もまったく11jigenさんに同感です。僕は、論文の質だけではなく量も大切であると主張しているのですが、この論文の再現性の問題、つまり質の問題は何とかしていただかないといけませんね。 ずいぶん前になりますが、僕は1984-86年にアメリカのテネシー州バンダービルト大学医学部の分子生理学部門にポスドクとして留学をしていました。研究テーマはインスリンの脂肪細胞にお

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  • 「日本の存在感低下、科学論文や特許出願数」に想う - ある医療系大学長のつぼやき

    鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog 「日の存在感低下、科学論文や特許出願数」 これは今日の朝日新聞のある記事のタイトルです。「今年の科学技術白書が厳しい現実を指摘した」とあります。 僕がずいぶんと前から一生懸命訴えてきたことがようやく認識されはじめたのかな、という感じですね。 科学技術白書を覗いてみると 「・近年、山中教授等卓越した研究成果の産出はあるが、全体として論文生産の量・質のシェアや順位が低下⇒我が国の研究活動における存在感の低下を示唆 ・我が国の研究費は着実に増加してきたが、米国、中国等主要国の研究費の伸びは、我が国に比べ高い。」 と記載されており、今までは論文の量を書くことがタブー視されていたのが、「量・質」という表現になっていることは、少し進歩したと思います。そして、「主要国の研究費の伸びはわが国に比

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  • 加速する大学の2極化と地方大学(その3)ー重点化政策の効果 - ある医療系大学長のつぼやき

    鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog 「加速する大学の2極化と地方大学」というテーマで、1回目は平成25年度予算案から、2回目は評価の視点からお話をしました。今回は、国が行ってきた「基盤的経費削減+重点化」政策が、現時点でどれくらいの効果があったのかを、論文数のデータで確認をしてみたいと思います。 論文数については、今までの僕のブログで何回も書いていますね。以前のブログでお示ししたのと、同じようなグラフが出てきますが、ご了承ください。 いつものように、トムソン・ロイター社から出ている“InCites”というデータベースを使って分析しました。このInCitesは、誰でも比較的簡単に論文数の分析ができるようにセット化されたデータベースです。 まずは、我が国の大学群別の論文数の推移です。国立大学をトップクラスとその他に分け、

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  • 加速する大学の2極化と地方大学(その2)-大学評価について - ある医療系大学長のつぼやき

    鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog きのうのブログでは、「大学改革実行プラン」に基づいた平成25年度予算案を見て、日の大学(国立大学)の2極化がさらに加速するというお話をしました。 きょうは「大学評価」の観点から、大学の2極化について考えてみましょう。 わが国の大学評価制度は2004年の国立大学法人化前後から整備され、国公私立大学や短大・高専が受審を義務付けられている「認証評価」と、国立大学特有の「国立大学法人評価」があります。「認証評価」の方は、大学等の質を保証することが目的であり、いわば資格試験のような性格のものですね。 「国立大学法人評価」は、目標管理にもとづく大学としての目標達成状況等と、各学部・研究科等の現況分析(研究業績水準判定を含む)からなり、教育、研究、運営面等から、総合評価がなされます。毎年、年度

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  • 加速する大学の2極化と地方大学(その1) - ある医療系大学長のつぼやき

    鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog 一昨日、国立大学協会主催の臨時学長会議が学士会館で開かれ、文部科学省の皆さんから高等教育および科学技術関係の平成25年度予算案についての説明がありました。 その会議の最後に今年度で退任される鳥取大学長の能勢隆之さんがご挨拶されたのですが、そのお言葉が強く印象に深く残りました。正確な文言ではありませんが、ご挨拶は、”国立大学協会はいろいろな大学から成り立っているが、ますます厳しい状況になり、皆でいっしょにやれる状況ではなくなってしまった”、というようなご主旨だったと思います。 今までのブログでお話をした「大学改革実行プラン」、そして、今回の大学関係の予算案の説明から、基盤的経費の削減と重点化政策の強化により、国立大学の2極化が加速することは誰の目にも明らかですからね。今まで、一生懸命

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