【ワシントン=中島達雄】米航空宇宙局(NASA)は、火星の大気に含まれるメタンの量が予想の約6分の1しかなかったと米科学誌サイエンスで発表した。 微生物の活動の「証拠」となるメタンが少なかったことで、火星に微生物がいるという期待は薄くなった。 これまでの火星探査機や地球からの観測では、火星の大気中のメタンの濃度は7~8ppb(ppbは10億分の1)と推定され、火星の地中に住む微生物からメタンが発生している可能性があると考えられていた。 しかし、NASAやミシガン大などの研究チームが、昨年8月に火星に着陸した無人探査車「キュリオシティ」の観測データを分析したところ、メタンの濃度は平均0・18ppbに過ぎず、最も多いところでも1・3ppbだった。研究チームは「微生物がメタンを生成した可能性は、大幅に下がった」と結論づけた。