モバイル管制、人工知能、そして日本の固体ロケットの良き伝統――。さまざまな話題と共に、「イプシロン」ロケットの1号機が打ち上げられたのは、今からちょうど2年前の、2013年9月14日のことだった。大勢の人々に見守られながら、内之浦宇宙空間観測所を離昇したイプシロンは、搭載していた衛星「SPRINT-A」(のちに「ひさき」と命名)を無事に予定通りの軌道に乗せ、華々しいデビューを飾った。 そして現在、この1号機より能力を高めた「強化型イプシロン」の開発が進んでいる。この「強化型」で、イプシロンはどのように変わるのだろうか。 連載の第1回となる今回は、イプシロンが先代のM-Vロケットから、どう変わることを目指して開発されたのかについて見ていきたい。 M-Vを継ぐもの 「イプシロン」ロケットは、2006年に引退した「M-V」ロケットの後継機として、そして糸川英夫博士のペンシルから続く、日本の固体ロ