東北大学の井上明久総長が新たに論文2本を二重投稿していたことがわかり、それぞれの論文が取り消された。二重投稿は研究者倫理や著作権法に反する研究不正。論文の一つは、井上総長が2002年に日本学士院賞を受けた際、主な業績に挙げられていた。 井上総長は、ふつうの合金より強くさびにくい新素材「金属ガラス」研究の世界的権威。取り消された2論文も金属ガラスの特性に関するものだ。 学士院賞の根拠になった論文は、応用物理の米学術誌「アプライド・フィジックス・レターズ(APL)」に1999年10月7日に投稿され、00年2月に掲載された。 ところが「材料工学の国際会議の議事録に、同じ内容の論文がAPLより先に投稿されている」との情報が最近、APL編集部に寄せられた。論文の文面やグラフ・写真が極めて似ており、編集部は二重投稿と断定。日本時間の今月25日未明、APLの電子版で論文の取り消しが公告された。