チュニジアで始まったアラブの「民主化ドミノ」が止まらない。もはや民意を反映しない体制の存続は困難になりつつある。独裁政権を支援してきた欧米も外交戦略の見直しを迫られる。 14カ月間、食料はタダ――。2月1日、オイルマネーで潤う中東の小国クウェートで、壮大なバラマキ政策が始まった。独立50周年の記念行事として、移民を除く約110万人のクウェート人に約30万円の祝い金に加え、食料を1年以上にわたって無料にするというのだ。 だが、それを単なる記念行事と受け止めた専門家は少ない。英国際戦略研究所(IISS)バーレーン事務所のアラノウド・アルシャレク氏は、「エジプトのような暴動を未然に防ごうとする動きが中東に広がっている。クウェートの取り組みはその1つ」と指摘する。 北アフリカで民主化デモが勃発した契機の1つが、食料価格の高騰。産油国のクウェートは1人当たりのGDP(国内総生産)が3万ドルを超え、エ