長期化したタイの洪水被害を約1カ月にわたって調査した東京大学生産技術研究所沖大幹研究室の中村晋一郎特任助教が、現地報告の最後として、今回の被害から日本の治水が学ぶべき点を解説する。浸水を防ぐためバンコク近郊に設けた水防ラインをめぐって、住民の反対があった。(日経コンストラクション)
タイで起きている洪水は、各地に大きな被害をもたらしただけでなく、アユタヤ周辺の工業団地を水没させたことで、日本企業の生産活動に打撃を与えた。首都バンコクでも、中心部を流れるチャオプラヤ川が一部で氾濫し、じわじわと浸水域が広がっている。 なぜ今回の洪水は、これほどまで規模が拡大しながら、長期にわたって続いているのか。グローバル化が進む中、企業はこうした海外の災害リスクとどう向き合うべきなのか。 タイで現地の研究者たちと共同研究を続けてきた東京大学生産技術研究所沖研究室で特任助教を務める中村晋一郎氏に聞いた。 (取材構成は、秋山基=ライター) 現在、タイで起きている洪水の直接的な原因は、6月から9月にかけて続いた記録的な大雨だ。この期間のタイ国内の雨量は平年より3~4割多かった。また、10月に入っても雨は降り続いた。 こうした降雨の規模は「50年に1度」のレベルとも言われているが、気象庁によれ
大規模な洪水被害が続くタイでは、10月28日にタイ湾の大潮を迎え浸水域がさらに広がっている。首都バンコクでも道路など一部が冠水し、北部のドンムアン空港はほぼ全域が浸水した。日本の河川と違い、数カ月にわたってじわじわと広がっている洪水被害は、どんなメカニズムで起こっているのか。ダムや堤防による治水計画は機能しているのか。専門家の意見や文献を参照しながら分析する。
Saha Rattana Nakorn工業団地内のHEWTECH (THAILAND) Co., Ltd.(平河ヒューテックのデータ) 今夏以降の豪雨による洪水被害が拡大しているタイで、日系企業の生産拠点が集まるAyutthaya県のSaha Rattana Nakorn工業団地が浸水し、2011年10月4日、当局から退去命令が下された。 事態を受けて、2011年10月6日から、同工業団地に工場を持つ日系企業が株主に向けて工場の操業停止をそれぞれ報告している。ただし、現時点で工業団地への立ち入りができないため、各企業とも「被害状況や復旧の見込みは現時点で把握できていない」とする。 操業停止を報告しているのは、サーミスタ素子とセンサの専門メーカーである芝浦電子や、自動車用シートや内装部品を手がけるテイ・エス テック、車体プレス部品などを生産する丸順、バルブ機器メーカーのヨシタケ、ケーブルや通
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