あの人気ヒューマンドキュメンタリー番組『情熱大陸』が、900回の記念放送にフィギュアスケート選手の羽生結弦を取り上げる──。 新聞記事でそのことを知った瞬間、私は録画予約を始めていた。とくに熱い『情熱大陸』ファンではないのだが、羽生を取り上げるとあってはチェックしないわけにはいかない。〈羽生結弦×『情熱大陸』〉は、最高のカップリングに思えた。 ところが番組を見てみたら、何かがおかしい。いつもの『情熱大陸』と、どこか違う……。そんなことを思いながら見ているうちに、もうエンドロールが始まってしまった。「え、これで終わり?」と声に出してしまったほど、違和感が残った。 この放送に、いったい何が起こっていたのだろう。 『情熱大陸』が残した感動と違和感 『情熱大陸』という番組に、もう説明は不要なはずだ。旬な人物に「密着取材」を敢行し、その「素顔」を届けるというドキュメンタリー。1998年の放送開始から