超高層建築物が、わが国で初めて建設された時には、超長周期地震動がまったく考えられていなかった。そもそも、当時のわが国には、超高層建築物の構造計算にあたって、予想される地震の波形資料がまったくなかった。霞が関ビルの場合は、米国の「タフト」と「エルセントロ」の波形を使用している。 もちろん、ごく最近に建設された超高層建築物は超長周期地震動に関して検討を加えているだろうが、これまでに建てられたわが国の多くの超高層建築物には、超長周期地震動に対する検討は行われていない。 東日本大震災では、大阪の超高層建築物でも超長周期地震動の影響が指摘された。だが、そもそもは中越地震の際、新宿の超高層ビル群に振動が発生したことから、多くの議論が起こったのである。 新しい事態に対して、新しい反応議論が生じることは、しばしばある。エスカレーターの片側を歩いて、あるいは走って通る人がいることなどは、エスカレーターを初め