新宮市立佐藤春夫記念館は、兵庫県芦屋市の市谷崎潤一郎記念館と合同で、特別展「恋文 〜文豪はいかに愛をささやいたか〜」(中央公論新社協力、読売新聞大阪本社後援)を4月24日から、谷崎記念館で開く。両館が収蔵する史料などから二人の文豪の交流と文学に迫る。 春夫は谷崎の元妻、千代と結婚、当時、世間を驚かせた。千代は3度結婚を繰り返した谷崎の最初の妻で、春夫にとって4人目の、そして生涯の妻だった。この事件の前後、春夫が千代にあてた恋文は、激しい文面でつづられている。「私の今生きてゐるのぞみはあなたを一目見ることです……」 一方、離婚後谷崎が女性にあてた恋文も残る。「一生あなた様に御仕へ申すことが出来ましたら たとひそのために身を亡ぼしても それが私には無上の幸福でございます……」 本質的に詩人だった春夫と小説家だった谷崎の個性の違いがこうした恋文からうかがうことができる。 両館は1990年に交流提