ここ最近の金価格急落は世界経済への警報であると見る向きが増えているようだが、筆者の見方は真逆である。むしろ長期的な経済繁栄および株高の予兆として捉えるべきであり、リスクテイカーにとって、それこそ「鬼に金棒」の投資環境が整ったと考えている。 過去100年間に金価格は1933年、80年、2011年と3度の急騰場面があったがいずれも長く続かず、その後は長期横ばい(33年から71年まで)、ないし長期下落(80年から2000年代初頭まで)という経過をたどった。今回も2011年にピークをつけた金価格は長期下落または長期停滞過程に入った可能性が濃厚になってきた。そこで金価格の歴史を検証すると、以下の3つの仮説(因果関連=法則性)がうかがわれる。 第1は、金と通貨制度との関連性である。金価格は金融経済危機の下で新通貨レジームが登場し、通貨供給量(期待)が高まった時に上昇してきた。最初は33年に米国で金本位