1978年に米フォード社から我々宇部興産が受注した9台の2500tのダイカストマシンは,当時フォード社が「世界最大のダイカスト工場」と自慢していたアラバマ州のシェフィールド工場に納入することになった。場所は,あのフランクリン・ルーズベルト大統領が打ち出したニューディール政策の一環で設立されたテネシー川流域開発公社(Tennessee Valley Authority;TVA)の近く。TVAのダムの水で発電する安価な電力を使ってアルミニウム合金を精錬するレイノルズメタル社の工場の隣にあった。この地の利を生かし,シェフィールド工場はアルミ溶湯をレイノルズメタル社から直接供給してもらう熱効率に優れる工場のはず,だった。 実際に我々がシェフィールド工場の見学に行くと,確かにフォード社が世界最大と豪語するだけあって壮大な工場だった。ところが,溶解炉の前を見ると鋳造不良のスクラップの山がある。聞くと,
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