国内の逆風をはねのけてでもTPPを推進したいオバマ政権。中国への「外圧」も視野に入れたその野心的戦略とは 意外かもしれないが、米政府が世界で最も熱心に推進している一方で、アメリカ国内ではTPPはまったくと言っていいほど話題に上っていない。 アメリカを含む9カ国が既に「次世代」の通商協定に向けた大枠の合意に達しており、12年末までの最終合意成立を目指す──11月12日、バラク・オバマ大統領がホノルルでそう表明するまで、アメリカ人の大半は「TPP」という言葉すら聞いたことがなかった。 国内的な知名度が皆無な一方で、この10年間対テロ戦争と中東情勢に目を奪われてアジアや中南米で出遅れた米政府は、いまさらながらこの地域に焦点を移している。アメリカ政府にとって、TPP(環太平洋経済連携協定)は失地回復のための足掛かりの1つだ。その戦略は、中国を「外圧」で変えようとする側面も見え隠れするほど、野心的だ