はじめに 平成31年1月22日、厚生労働省である記者会見が行われた。 政府の基幹統計(政策に関わる重要な統計)の一つである「毎月勤労統計調査」(以下「毎勤」)に関して、大きな不正が発覚したというのだ。 不正の概要としては、 ・少なくとも平成8年以降、調査対象事業所数が公表資料よりも1割程度少なかった。東京都の規模500人以上の事業所については、「全数調査」と調査年報に記載していたにも関わらず抽出調査としていた。 ・平成16年~平成29年の抽出調査では、集計上必要な復元処理が行われず、「きまって支給する給与」等の金額が低めに表示されていた。このため、「毎勤」ベースで算出される雇用保険や労災保険に係る給付額が本来より低くなるという現象が発生している。 ・平成16年~平成23年の調査については、復元に必要なデータの保存措置が取られず、再集計値が算出できない状態になっている。 ・平成30年9月にサ
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