冒頭の4回転サルコーで転倒した羽生だが、そのあとが見事だった。普通、転ぶと動揺したり悔しがったりで乱れが出てもおかしくないが、今日の羽生は一切乱れがなかった。後ろを見ず、前にだけ進んでいった姿勢はすごい。人生も同じで、見本にするべきだろう。 転倒したサルコーは、ジャンプに迷いがあったように見えた。全日本という特別な大会、しかもNHK杯とグランプリファイナルで2戦連続して世界最高得点を出し続けてきた後で、周囲の期待というプレッシャーもあったのでは。ただ、この失敗で、フリーはかえって気楽に臨めるのではないか。 宇野は、羽生の失敗を見て欲が出るところだったが、しっかり抑えて、やるべきことをやりきった。21歳の羽生と18歳の宇野。若いがとても頼りがいがある。(1976年インスブルック五輪代表、77年東京世界選手権銅メダリスト)