『傷痕のメッセージ』の著者で、医師として働きながら意欲作を精力的に発表し続ける知念実希人さんと、病理医として働きながら、医療についてのわかりやすくも深い解説やエッセイを発信する市原真さんの御二人が、病理医を主人公とする本作の魅力を語り合います。 「胃の中の文字」に世界で一番驚いた 市原:今日は対談相手に選んでいただき光栄です。Twitterで交流させていただいていますが、直接お話しするのは初めてですね。 僕は知念先生の大ファンなんです。最新刊の『傷痕のメッセージ』を拝読してまず思ったのは知念先生のワールドが炸裂していること。僕が病理診断医であり、登場人物の一部が病理を専門にしていることを超えて、物語が大変に面白かったです。1人の読者としてまずそのことにお礼を申し上げます。 知念:ありがとうございます。そう言っていただけてホッとしました。病理の専門家に読んでもらうということで、緊張して今日の