「電車はハンドルがないのにカーブを曲がる」――東京都中野区にある東京メトロ「中野車両基地」で、こんなことを知った。言われてみれば電車には自動車のようなハンドルがなく、車輪を自由に操作できない。なぜ、電車は線路に合わせてカーブするのか。東京大学で勉強してきた。 そもそも電車の車輪は自動車とは異なり、左右の車輪が車軸でつながり一体となっている。これをハンドル操作なくどう制御しているのだろうか。 鍵となるのが、車輪に付けられた「傾き」である。前回、中野車両基地で外に向かって切り下がっている車輪を見てきたが、まさにこの“切り下がり”がカーブを曲がる秘密だったのだ。 まずは4つの車輪の模型で実験。「切り下がりのない円柱の車輪」「80度の角度を持つ円錐の車輪」「70度の角度を持つ円錐の車輪」「とがった円錐の車輪」の4つを同じレールに置いてみて、それぞれがどのようにカーブに対応するのかを調べてみた。