2016年02月23日00:28 カテゴリ本 「近代世界システム」の終わりとしての1968年 山本義隆氏の『私の1960年代』が全共闘運動の敗北宣言だとすれば、本書はその勝利宣言だ。1984年に書かれた本論は陳腐化しているが、2012年に書かれた長文の補論は「68年に始まった大衆蜂起の時代はようやく開幕したばかりだ」と結ばれる。 といっても著者は、レーニン的な社会主義革命を夢見ているわけではない。彼の論拠は、ウォーラーステインの「1968年が近代世界システムの終わりだ」という規定である。 「長い16世紀」にヨーロッパから始まったグローバル資本主義は、その後の500年で全世界を支配下に置く世界=経済を構築した。その過程で彼らが行なった戦争や植民地支配は不問に付され、第1次大戦で世界の再分割が終了した後の武力による現状変更が「侵略」とされた。国際連盟も国連も「先進国クラブ」の既得権を守る体制で