2016/12/15: にわかに閲覧者が増えたのでおかしなところを微修正 概要 統計学史をちょっと調べていておもしろかったのでまとめてみた 技術的にはすごく初歩的な話なので, 回帰分析 (最小二乗法) の入門的な「読み物」という位置づけになりそう 入門的な読み物なので, 特に最小二乗法の説明箇所は中学高校の数学の知識だけで理解できるような表現をしている, したつもり. PDF換算で 10 ページ (ただし画像が結構多い) 惑星の軌道を予測する連立方程式で惑星の軌道を予測する19世紀初頭にフランスの数学者ルジャンドル*1が最小二乗法のアイディアを最初に発表したが, ドイツの数学者ガウス*2が直後に自分こそが先に思いついたと主張し, 論争を生んだという (Abdulle & Wanner, 2002, 200 Years of Least Squares Method). しかし, いずれが先
[2024-02-04] Contribution/新型コロナウイルスの時系列解析(5)第5波の詳細モデル(nino著) [2023-12-17] Contribution/新型コロナウイルスの時系列解析(4)第5波の統計モデル(nino著) [2023-11-06] Contribution/新型コロナウイルスの時系列解析(3)移動平均等を用いた感染状況の把握方法について(nino著) [2023-08-31] スポンサーご紹介/株式会社Quemix様のご紹介 [2023-08-31] 流体力学(加筆)/流体力学における最小作用の原理(提案)(鈴木康夫著) [2023-06-28] Contribution/新型コロナウイルスの時系列解析(2)第5波の特徴(nino著) [2022-03-20] 生徒募集/大学物理の家庭教師、生徒さんを募集します(クロメル) [2022-03-13] C
誰かまとめてくれ。 いや、ホント不便なんだよあれ。定番の定理だけで4通りあって、証明方がそれに応じてさらに3通りくらいあるんで、12通りくらいになる。それをいちいち、このやり方はアレを参照、これはそれを参照、とかやるのが面倒すぎる。しかも日本語文献だと英語論文に引用できない縛り。勘弁して欲しい。 現状、Pontryaginは日本語版はいいんだけど英語版はほぼ使えない。Smale and Hirschも微妙。HartmanとCoddington and Levinsonは若干マシだけどどーにも読みづらい。LuenburgerとIoffe and Tikhomirovは一部有用だけど一部しか使えない。どれをどんなタイミングでどう引用すればいいのかわからないんだクソ! とりあえず、ここに基礎知識書いとく。どんだけ面倒かがわかるはずだ。 まず常微分方程式、その最も典型的問題である初期値問題(コーシ
ん? あれ? ひょっとして … 一昨日書いた記事「なぜにテンソル記法は意味不明なのか」を読み直していて、気付いたことがあります。テンソル記法の「意味不明問題」は、解決できるようです。 思いついたときに書いておかないと、二度と書かない(書けない)ことがあるので、ふんばって必要なことは全部書いておきました。 内容: テンソル記法の「意味不明問題」とは アイディアと方法 インデックスからマーカーへ テンソル空間 テンソルとプロファイル プロファイル注釈 テンソルのテンソル積 双対空間に対するマーカー テンソルの縮約 置換と置換が定めるテンソル テンソルの置換同値 もうひとつの縮約 ネーム化とコネーム化 インデックスとしての添字 テンソル記法の「意味不明問題」とは テンソルの書き方〈記法〉としては、伝統的記法をそのまま採用します。「 はテンソルである」のような言い方を許容します。書き方・言い方にお
どうも、浮動小数点数オタクのmod_poppoです。 昨日開催された ABC169 の C 問題が浮動小数点数の罠な問題だったらしいので、どこが罠なのか、そしてどうすれば罠を回避できるのかを解説してみます。 また、典型的な誤答に対しては、それを落とすためのテストケースも用意しました。 問題文(引用) まず最初に問題文を引用しておきます。 AtCoder Beginner Contest 169 | C - Multiplication 3 問題文 $A\times B$ の小数点以下を切り捨て、結果を整数として出力してください。 制約 $0\le A\le 10^{15}$ $0\le B<10$ $A$ は整数 $B$ は小数第 2 位まで与えられる 入力 入力は以下の形式で標準入力から与えられる。
クリーネの再帰定理のプログラマ向け説明(+証明)を書いてみました。何か間違ってたら教えて! 前提 すべてのプログラムは文字列を 1 つ入力して文字列を 1 つ出力する、という世界を考えます。なお、プログラム自体も当然文字列です。 プログラムは eval っぽい命令を使っていいことにします。つまり、プログラムpと、pへの入力文字列sを受け取って、pを実行した結果の出力文字列を返す関数 E(p, s) が利用可能です。*1 二つのプログラム p と q が完全に同じように振る舞うとき、p 〜 q と書くことにします*2。これは明らかに推移的。 定理 任意のプログラム f に対し、p 〜 E(f, p) となるようなプログラム文字列 p が存在する。*3 定理の証明 以下のような 3 つの文字列を考えます。 h: 入力文字列 x に対し、E(x, x) の結果を出力するプログラム*4 e: 入力
望月新一先生の「宇宙際タイヒミュラー理論」に関する論文が、論文誌に採録されることが決まったというニュースが飛び込んできました。 mainichi.jp 論文の原稿は8年も前から発表されており、その内容の壮大さから、数学好きの間で度々話題になっていました。特に、この理論の系として「ABC予想」と呼ばれる未解決問題が導かれるということが、数学好きとは限らない数多くの人の興味を引きました。 論文の主張が正しいかどうかは、結果的には論文を読んで自分で確かめる他ありません。 (論文誌に掲載されたということは、関連分野の専門家に査読されたということを意味しますが、これは主張の正しさが証明されたことを意味しないからです。) しかしながら、一数学ファンとしては、論文誌に掲載されるというニュースを聞いて、純粋に嬉しい気持ちになりました。 一つの節目として、せっかくなので、自分の中の理解の確認のためにも、AB
はじめに 数学的に厳密でない表現があります。 やったこと $a^n$ を$10^9+7$で割ったあまりを求める 下降階乗冪を$10^9+7$で割ったあまりを求める 二項係数を$10^9+7$で割ったあまりを求める 以下、有限体 $F_{p}\ (p=10^9+7)$ 上での演算を考えます。 動機 AtCoderのこれ。 D - Bouquet 非常に大きい数での組み合わせの総数を求める問題です。 \sum_{k=0}^{n} \biggl( \begin{matrix} n \\ k \end{matrix} \biggl) \ =\ (1+1)^n \ =\ 2^n \ \ \ \ \ \ (0\leq n\leq 10^9)
$n$ 次元はお好きですか?僕は好きです。 n次元球の定義 $n$ 次元球というのは $n$ 次元の球です。 ちゃんと言うと、$n$ 次元空間内の「ある点」からの(ユークリッド)距離が「ある値」以下の空間を $n$ 次元球と呼びます。 「ある点」を球の中心、「ある値」を球の半径と呼びます。 なお、今回は球の中身は詰まってるものと考えます。球の定義が「『ある値』ちょうど」ではなく「『ある値』以下」になっているのはそのためです。 別に詰まってても詰まってなくてもいいんですが、僕は詰まってる方が好きなので詰まってることにします。 この定義に沿うと、$n<3$ の時も $n$ 次元球が定義できます。それは次のようになります。 ・$2$ 次元球は円を指す。$2$ 次元球の中心や半径は通常の円の中心や半径と同じ。 ・$1$ 次元球は線分を指す。$1$ 次元球の中心は線分の中点、半径は線分の長さの半分。
このところ、複素関数論(複素解析)を復習してた。 というのは、素数についての本格的入門書を執筆中だからだ。ぼくは、一昨年(2017年)に『世界は素数でできている』角川新書を刊行した。この本は、素数について、お話だけじゃなく、ある程度きちんと理論の中身を紹介するものだった。 世界は素数でできている (角川新書) 作者: 小島寛之 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2017/08/10 メディア: 新書 この商品を含むブログ (2件) を見る 相当にがんばって書いたけど、二つの限界があった。第一は新書だからページ数が限れらていること。第二は、縦書きだから数式をあまり入れられないこと。もちろん、だからこそ多くの人が読める良い本に仕上がった。でも、一方で、数学が好きでもっと詳しく知りたい人の期待には応えられなかった。だから、横書きでページ数のたっぷりとれる本で、素数ファンに素数のすべ
Takashi Okumura @tweeting_drtaka 前線の死傷より後方基地の感染症死亡が多い。そうした兵士を、何百人、何千人と目の前で直接看取らせれるわけですから、状況を改善できない官僚組織への憎悪はどれほどのものだったか。その経験が、彼女の天賦の才と病的な執着心を、その後の数十年に渡る病院組織、看護職制度の改革に向かわせたと。 2014-04-28 23:36:18 Takashi Okumura @tweeting_drtaka もっとも、陸軍野戦病院の収容者数が12000人にも上ったとありますが、150年前の技術水準でそんな患者を一箇所に収容したら、死人の山が出るのは当然ではあります。新座に米軍病院があったとき、1200床規模だったと聞いていますので、戦時の後方支援病院は規模が膨らむ性質があるのかも。 2014-04-28 23:42:09 Takashi Okumur
数学において、母関数(ぼかんすう、英: generating function; 生成関数)は、(自然数で添字付けられた)数列 {an} に関する情報を内包した係数を持つ、形式的冪級数である。母関数は、一般線型回帰問題の解決のためにド・モアブルによって1730年に初めて用いられた[1]。複数の自然数で添字付けられる数の配列(多重数列)の情報を取り込んだ多変数冪級数を同様に考えることもできる。 母関数には、通常型母関数 (ordinary generating function)、指数型母関数 (exponential generating function)、ランベルト級数 (Lambert series)、ベル級数 (Bell series)、ディリクレ級数 (Dirichlet series) など様々なものがある。これらについては定義と例を後述する。原理的にはあらゆる列についてそれぞ
2019年6月に以下の記事が投稿されました。 ループ、再帰、gotoを使わずに1から100までを印字するC++プログラムは書けますか?に対するIchi Kanayaさんの回答 - Quora 英語版の記事「How to print 1 to 100 in C++ without a loop, goto or recursion - Quora」から興味深い回答を抜き出して、それにランク付けをしながら和訳してくださっている記事です。 初級や中級は「まぁあるよね(C++知らないけれど……)」という感じですが、 上級とされた「マイクロソフト社のデータサイエンティスト Conner Davis 氏」の回答が面白かった ので、ご紹介を兼ねてその発想の源泉を推測してみることにしました。 以下に Conner Davis 氏の回答の和訳を引用します。 マイクロソフト社のデータサイエンティスト Conn
今回は、小山信也さんの数学書『リーマン教授にインタビューする』青土社を紹介しよう。 リーマン教授にインタビューする ゼータの起源から深リーマン予想まで [ 小山信也 ] ジャンル: 本・雑誌・コミック > 科学・医学・技術 > 数学ショップ: 楽天ブックス価格: 1,944円この本は、高度な数学啓蒙書であり、かつ、近現代の数学史の書であり、かつ、数学思想の指南の書でもある。この本の良い点は、次の三点に尽きる。 1. 会話型で書かれた数学書として、出色の出来となっている。 2.ゼータ関数をとりまく数論のみごとな総覧的紹介となっている。 3. 数学の思想的な発展がどのような動機と経緯で成されるかが、よくわかる。 以下、もう少し詳しく説明しよう。 実は、ぼくは、会話型の数学啓蒙書や受験参考書のほとんどを評価していない。会話文は簡単、と多くの数学者・数学教育者が思っているふしがあるが、それは単なる
(高校で習うはずの)数学的帰納法をはじめとする帰納法(induction)と、(π計算など並行プロセス計算に出てくる)双模倣(bisimulation)をはじめとする余帰納法(coinduction)は、双対(dual)であると言われます(例)。双対というのは、大雑把に言うと、論理式のド・モルガンの法則 ¬(A∨B) ⇔ ¬A∧¬B と ¬(A∧B) ⇔ ¬A∨¬B のように、何か一組のもの(ここでは∧と∨)をひっくり返しても同じ式が成り立つという関係です(例)。 しかし、自分は学部4年ぐらいのときに余帰納法(というか双模倣)を習って、「(数学的帰納法のような)帰納法と(双模倣のような)余帰納法が双対」と聞いても、何となく「余帰納法は結論を仮定する(?)から、仮定を仮定する(?)帰納法と反対なのかなあ」と思うぐらいで、恥ずかしながら何が双対なのかよくわかりませんでした。かといって、詳しい人
SRE チーム立ち上げ前に考えたこと・取り組んだこと / Considerations and Preparations Before Establishing an SRE Team
双対的にみる余帰納法シリーズ 1. イントロ 2. 帰納法と代数 3. 余帰納法と余代数 はじめに 帰納法について圏論的な見方を解説した日本語のWebページはそれなりにあるが, 余帰納法についてはみかけない. しかし, Haskellで使われる無限リストは余帰納的なデータの代表例であり, 余帰納法の解説にはある程度の意味があると信じて本記事を書く. 帰納法は知っているけど, 余帰納法って何? という読者が大半かと思われるので, まず本記事では余帰納法の使い方に焦点を当てて余帰納法への導入を行なう. その後, 余帰納法が帰納法の双対になっていることや, 余帰納的な証明手法であるBisimulationについていくつかの記事に分けて解説する(予定). 事前知識 読者が以下のことを知っていることを前提に以降の記事を書く. 圏論についての基本的なこと 圏や関手, 直積, 直和 帰納法についての知識
形式言語理論は、かなりの程度、代数的に定式化できます。例えば、形式言語の全体は順序半環、オートマトンはその順序半環を係数とする正方行列だと思えます。オートマトンの初期状態と終状態、オートマトンのあいだの模倣(simulation)関係なども行列により表現できます。 ここでは、できるだけ手短に形式言語理論のための代数、特に半環係数行列の概念を説明します。形式言語とオートマトンの基礎事項についても概要を述べますが、とてもラフな記述なので、他の資料や教科書で予備知識は仕入れておいたほうがいいでしょう。図を多用して幾何的・物理的な比喩を使うと分かりやすくなるとは思うのですが、今回は絵は描きませんでした。絵による説明はまたの機会に。 目標はオートマトンと模倣の圏を作ることです。オートマトンは代数的には正方行列となります。関係圏Rel(の部分圏)をインデキシング圏とするインデックス付き圏を作り、そのグ
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