格差解消も大事だが“成長”と“改革”の手を緩めるな (田中 秀征=福山大学教授) 安倍晋三内閣が発足して以来、“経済格差”が急激に政治問題化。民主党はじめ野党はこの問題を参院選の最大の争点にする構えを強めている。 その勢いに引きずられたのか。政府・与党も次第に腰を浮かせ始めた。官邸の成長力底上げ戦略構想チームも、「社会経済全体の所得水準の引き上げ」に取り組むとし、“成長”から“格差”に議論の軸足を移したかに見える。“格差”が最大の争点となれば、当然“成長”や“改革”は二の次になる。果たしてそれでよいのか。 格差は、好調な成長がもたらす悩ましい問題 “成長”と“改革”も長い苦難の道のりを経て、やっと緒に着いたばかり。とても手を緩めていい段階まで至っていない。それどころか、この2、3年が正念場である。 一口に格差と言っても個人の所得格差にとどまらない。官民格差、地域格差、業種間格差