かつて大山街道を往来する人や物資を運んだ多摩川の渡し舟「二子の渡し」が29日、川崎市高津区と東京都世田谷区を結ぶ二子橋付近で、一日限定ながら86年ぶりに復活した。 地域の歴史的な資源を活用しようと、市民グループや行政などでつくる「大山街道アクションフォーラム」と高津区役所が主催した。 二子の渡しは、農作物などの運搬や、大山詣での“足”として古くから利用され、河原は茶屋などでにぎわっていたという。しかし、二子橋の完成に伴い1925(大正14)年に廃止された。 イベントには親子連れら約60人が参加。二子の渡しを紹介する紙芝居を見た後、全長約5メートルの和船に交代で乗り込み、約300メートル離れた世田谷区の対岸まで5分ほどかけて渡った。 高津区の小学1年の男児(6)は「楽しい」と笑顔。母親(40)は「今は便利な世の中になったけど、昔の体験ができてよかった」と喜んでいた。