言わずと知れた日本の大学の最高峰である東京大学。その野球部も強豪ぞろいの六大学リーグで奮闘が話題になることもしばしばだ。そんな野球部OBがこの4月、激戦区で名高い神奈川の野球強豪校の校長に就任したという。銀行マンとして30年以上活躍してきた“超エリート”が教育の世界へ足を踏み入れたキッカケには、あの「日本一の進学校」での野球部指導の経験もあった。<NumberWebインタビュー全2回の2回目/最初から読む>
![「卒業生の6割が東大へ」“日本一の進学校”筑駒高の野球部で強豪を撃破…《東大野球部→銀行マン》のエリートが監督就任で感じたこと(安倍昌彦)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/4e47e6c289fc7b493c4dbcb73ace3b1b5663933f/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fnumber.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2Ff%2F7%2F-%2Fimg_f7fe143ca77bf707f451852d01ccb095355315.jpg)
高級車で颯爽と球場に乗りつけるのはスター選手のステータスのようなもの。2000年代初頭に2度の沢村賞に輝いた伝説のエース、斉藤和巳も例外ではなかった。 地下鉄と新幹線で通勤…斉藤和巳の今 昨年、古巣ソフトバンクの一軍投手コーチに就任し10年ぶりにユニフォームを着た。そして、今季は四軍監督に配置転換となった。福岡市内に住む斉藤はファーム本拠地のある筑後市へ新幹線で通っているのだが、さらに話を聞いて驚いた。 「博多駅までは地下鉄通勤よ。車で行くより時間が読みやすいから。新幹線もだけど、定期券を買(こ)うたからね」 ファームは朝が早い。そのうえ朝イチの首脳陣ミーティングの前に軽くウエイトトレーニングを行うのを日課にしているため朝6時台には自宅を出る。「乗る時間はいつも同じやね」。ラッシュアワーより早い時間帯のため車内は空いているが、「いつも立ってる。その方が好きやから」と小さく笑った。192セン
東京商工リサーチの調査(2023年3月)によると、上場企業の社長輩出ランキングでは、慶應大(288人)、早稲田大(227人)、東大(210人)の順となっている。慶應の一学年が6000人、早稲田が9000人に対して、3000人の東大は、比率で考えればやはり強い。大企業の社長になるなら、東大を出るのは近道なのだ。では、一般東大生とはまったく違う時間を過ごして社会に出た東大野球部のOBたちは、どんな社長になっているのだろうか。【全3回の前編/中編、後編も公開中】 ◆◆◆ 東大野球部出身の社長として最も世間に名が通っているのは、広告業界のガリバー・電通のトップを長らく務め、「電通の天皇」とまで呼ばれた成田豊(故人)だろう。 Number Webでは、東大野球部員の過去30年ほどの就職実績を調査しているが、電通に入社した人数は、2位につけている。電通に進む東大野球部OBは多く、いずれまた社長の椅子に
生中継も快諾、豪快スラッガーの“緻密な計算” 14時20分。インタビューを終える。ドラフト会議まで残り2時間半。 皇學館大学の「即席会見場」の設営も着々と進んでいた。聞けば、キー局の全国生中継も予定されているとのこと。 会場の様子を覗く、大学関係者の会話が耳に入る。 「すごい……やっぱライトがあると、雰囲気でるなぁ」 「出入り口、どっち側のドアを開放しようか」 「ここに並べた椅子は学生に座ってもらおう。となると記者さんをどうするか」 諸岡によれば「生中継」を実施するか否かも、直前まで悩んでいた。もっと言えば、村田が難色を示せば断る予定だった。 「テレビの担当の方から事前に説明いただきました。当日までドラフトの結果はわからない。指名されなかった場合、その様子も映してしまうことになると。そこで本人に相談すると、即答でした。『全然いいですよ』と。ここでプロに行けなくても、放送されることで世に村田
高校野球とプロ野球は地続きではない。 甲子園を沸かせたヒーローたちがプロの猛者たちとの戦いに敗れてユニフォームを脱ぐ姿をどれだけ見てきたことか。ドラフト会議が行われる毎秋、かつて天才や怪物として騒がれた男たちの引退が新聞をにぎわせるたびに「なぜ?」が浮かぶ。 なぜ、あれほどの実績を残したスターがプロ野球で通用しなかったのか? おそらく、答えはひとつではない。 結果がすべてのプロ野球では数字こそが実力を示す指標である。期待された数字を残せない選手はこの世界から去るしかない……。 大活躍の野手は「高橋由伸」が最後? 「どうして慶応大学野球部OB、特に野手はプロ野球で活躍できないのでしょうか」 編集部からの問いを受けて、記憶をたどってみた。 たしかに、高橋由伸(元読売ジャイアンツ。通算1753安打、321本塁打、986打点)を除けば、1990年以降にレギュラーとして活躍した選手は少ない。鳴り物入
自主性尊重は「慶応だからできる」の声 ――私はすごく嫌いな言い方なのですが、この夏の慶応高校のように自主性を尊重している進学校が結果を出すと、指導者の多くは必ず「慶応だからできるんだよ」と言うんです。つまり、頭のいい子たちだからできるんだ、と。 松坂典洋弁護士(以下、松坂) 慶応だからできるまでは言い過ぎかもしれませんね。 ――ただ、確かに指導困難校というのはあるじゃないですか。学力が低く、真っ当な教育環境を整えることでさえ難しい状況なんだ、と。部室で飲酒・喫煙をしたり、ケンカをしたり。昔、選手の喫煙が明るみに出たチームの監督が「うちの学校で喫煙ぐらいかわいいもんやで」とこぼしていて。正直、そうだよなと思えたんです。そのくらい見逃してやってもいいじゃないか、と。指導者の目からみたら、教育現場は決して平等ではないと思うんですよ。身の危険を感じるような、タフな現場もある。そういうところの指導者
格闘技 相撲 「一般家庭に比べたら変わってる。でも…」千代の富士の息子が告白…大横綱が過ごした“家族の時間”「さりげない愛情を感じていました」―2023上半期 BEST5
知人女性への強制性交の疑いで書類送検され、嫌疑不十分で不起訴処分となった西武・山川穂高内野手に対して、西武球団は9月4日に「無期限で公式戦への出場停止」とする処分を発表した。 「不起訴処分になったとはいえ、これだけ世間を騒がせた。主力選手としての責任ある立場ということもあるので、球団としては今回の事態を重く見て、しっかり処分すべきだと判断した」 都内で開かれた12球団実行委員会後に西武・飯田光男球団本部長が取材に応じ、処分に対する球団の考えをこう明らかにしている。 「不起訴処分」を受け、球団としてペナルティー 山川は昨年11月に港区のホテルで20代の女性に性的暴行をしたとして、女性側から被害届が出された。警視庁麻布署が捜査に乗り出し、今年5月に東京地検に書類送検されたが、8月下旬に不起訴処分となっている。 5月11日に「文春オンライン」が事件を報道した翌12日に、西武球団は「総合的に判断し
ちょうど同じ時期、横浜DeNA・深沢鳳介(投手・177cm74kg・右投右打・専大松戸高・2年目)が、イースタンリーグに週に一度の間隔で先発登板し、投げるたびに5イニング、6イニングを1、2点に抑えて、ここまで5勝3敗。横浜DeNAファーム投手陣の勝ち頭になった。5イニングに1四球程度の安定した制球力は、彼の持ち味そのものに見えていた。 OBでたった2人だけのプロ野球選手のその2人が、同じ時期に台頭してきている。 同じ頃、中学時代、横山陸人とバッテリーを組んでいた坂口雅哉(捕手・173cm80kg・右投左打・八王子高・4年)が仙台大学の主力打者としてリーグ戦で東北福祉大を破って全日本大学野球選手権に出場し、やはり中学時、横山陸人との投の二本柱として奮投した土屋大和(177cm81kg・右投右打・関東一高・4年)が東都大学リーグ・立正大学のエースとしてこの春3勝をあげ、強豪社会人チームに入社
プロ野球出身者として初めて“公認会計士”に転身した奥村武博(43歳)は、引退後しばらく「阪神タイガース」の選手だったことを隠したという。どん底にいたバイト生活、葛藤の末にようやくたどり着いた第二の人生。自らを見つめ直すきっかけを与えくれたチームメイトや恩師の存在を振り返る。【全2回の1回目/#2へ】 東京・日本橋は、弁護士や税理士、会計士といったいわゆる“士業“が密集するエリアだ。その中心地にあるビルの一室を訪れると、そこには名だたるオリンピアンやW杯出場選手、MLBのワールドシリーズ制覇のユニホームが華々しく飾られていた。 元プロ野球選手としては初の公認会計士である奥村武博(43歳)が所属する事務所である。現在は一流アスリートたちをクライアントに持ち、公認会計士としてアスリートの確定申告やスポーツクラブの財政面を支える傍ら、社団法人としてセカンドキャリアの支援を行う代表も兼任している。
そのため、「野球もしっかりやりたかった」という宮崎は開成中学の軟式野球部ではなく、地元、千葉のボーイズクラブに入団した。開成中学は土曜午前も授業があり、その時間はボーイズの練習に参加できないハンデを乗り越え、3番ライトとして活躍。中心選手となり、チームも関東大会まで進出するなど順調に力をつけていった。だが、この時点では社会人はおろか、東大野球部に進むことも考えていなかった。 「ボーイズはしっかりした守備練習がメインで、打撃については、『上から叩け』のような昭和っぽい指導。体の大きい選手は距離を飛ばせますが、僕の体格だと、思ったほど長打にはならない。そういう練習環境の中にあって、自分は今後もっともっとうまくなれるだろうという、伸び代のイメージを得られなかったんです。だから、野球をやるのは高校までだなと思っていました」 「外野ノックはゼロ」開成高校の独特な練習法 成長の天井を感じていた宮崎を東
リリーフにネガティブなイメージなし 与えられた務めは、球数制限のある先発を支える“第2先発”。普段チームで先発を務め、頭から試合を作っていく投手からすれば、ゲームの途中から入っていくのは難しいというが、今永は早い時点で割り切っていた。 「(先発候補は)錚々たるメンバーですし、任されたところで自分のパフォーマンスを出すことに集中したい」 そもそも今永は試合の途中からマウンドに立つことにネガティブなイメージを持っていない。昨年はノーヒットノーランを達成するなど先発として圧倒的な技量を持っているが、2017年にはチーム事情によりクライマックスシリーズ(CS)で初めてリリーフとして投げ2イニング無失点で抑えると、2019年のCSでも2試合を投げ1失点で終えている。 僕の場合、先発というのは… 今永は途中からゲームに入ることについて以前、次のように語っている。 【次ページ】 2022年キャンプ前に得
相撲、どこに行ったら見られるの? 屋根のある球場だけでなく、選手たちのほとんどは日本に来ること自体が初めて。だからこそ目にするものすべてが新鮮だった。ジーマはうれしそうにこう続けた。 「日本の文化も食べ物も気に入ったよ。スシに、ラーメン。何ていう名前だっけな、あのラーメンは……。とにかく辛くておいしかった。日本の文化や伝統もいいね。お寺とか、細かいディテールにこだわるところとか」 ディテールとは? 「例えばレストランで、箸の置き方とかもてなしの仕方とか。何でもきちんとした決まり、約束事がある。(土俵に上がってから儀式がある)相撲もそうだよね。実はすごく相撲を見に行きたいと思っているんだ。どこに行ったら見られるの? 連れていってほしい」 そう言って人懐っこそうな笑みを浮かべた。 チームの大黒柱は「本業・消防士」 チェコ代表は、昨秋にドイツで行われた予選A組(ヨーロッパ・アフリカのチームが出場
共同通信運動部の報道により、JOCなどが動き出し、東京五輪でも話題となった女性アスリートの盗撮被害や性的画像問題。その端緒となったのは記者の学生時代の経験と、ある女性陸上選手の告白だった――。
覚醒剤取締法違反で逮捕され、執行猶予中だった清原和博との対話。ひとり暮らしをする清原のもとを訪ねると、リビングには数匹の亀と3本のバットが置かれていた。亀を眺めながら明かした薬物依存との戦い、家族への想いとは……。 ベストセラー『嫌われた監督』で大宅賞、講談社ノンフィクション賞、新潮ドキュメント賞、ミズノスポーツライター賞の4冠受賞を果たした作家・鈴木忠平氏の待望の新刊『虚空の人 清原和博を巡る旅』より一部抜粋してお届けします。(全3回の1回目/#2、#3を読む) 一方でハチ公口へ続く階段には相変わらず人波が絶えず、窒息しそうな閉塞感に満ちていた。そして約束の日はやはり木曜日だった。 あらゆることが変化したようであり、ほとんど変わっていないようでもあった。 山手線を田町駅で降りると南口へ出た。埋め立てによってつくられた臨海都市の舗道は不自然に平らで直線的だった。ロー
9月7日から10日まで東欧ラトビアの首都リガで行なわれたフィギュアスケートのジュニアグランプリシリーズの第3戦、女子シングル。ブラジル代表として出場した14歳のマリア・レイクダルが、世界的な注目を集めた。 その最大の理由は、フィギュアスケートの国際大会に出場した世界初のトランスジェンダーの選手だったからだ。14歳にして、トランスジェンダー選手として世界の頂点を争う舞台に立った異色のスケーターはこれまでどのような人生を歩んできたのだろうか。(全2回のうち第1回/続きは#2へ) 身体が男の子でも、心は女の子だと感じたの 2008年3月29日、マリアはブラジル南東部クリチーバで男の子のジョアンとして生まれた。その2年後に妹タリアが、そのまた2年後に弟カルロスが生まれた。 やがて、ジョアンは自分が他の男の子とは少し違うことに気付く。 「身体が男の子でも、心は女の子だと感じたの。他の男の子のように髪
神宮球場の一塁側・内野席で日本シリーズ第2戦を見つめていた相原正美(元岩出山野球部監督)は、教え子である今野龍太の出番を待っていた。「8回に登板しそうだ」。席がちょうどブルペンの前だったため、慌ただしく準備するヤクルト中継ぎ陣の様子がよく見えるのだ。 恩師を招待した日本シリーズで… 4番手でマウンドに向かう今野に心の中でエールを送ると、祈るような気持ちで戦況を見守った。3点ビハインドの8回表から9回表。今野は回またぎで打者6人を無安打無失点無四死球と完ぺきに抑えて仕事を果たした。この流れに乗ってか、ヤクルトは9回裏の土壇場で内山壮真に同点3ランが出て、試合は延長12回3-3でゲームセット。5回から投手7人を繋いだ継投策。相原監督はその一翼を担った今野に感動していた。今野が相原のためにと用意してくれた「特等席」で。 「神宮で本人を見たのは今日が2回目。今野の好投を見られたのも良かったですが、
学校部活動での体罰やパワハラが問題になる一方で、新たな指導の取り組み方で強さを手に入れているチームがある。全国高校サッカー選手権に出場するまで成長した高校を追った『「毎日の部活が高校生活一番の宝物」堀越高校サッカー部のボトムアップ物語』(竹書房)の一部を転載する(全3回の1回目/#2,#3へ) 任せる・認める・考えさせる」畑喜美夫の指導 2012年、ゴールデンウィークに入ると堀越高校でAチームを指導する佐藤実は、広島県立安芸南高校でサッカー部監督を務める畑喜美夫を訪ねた。同校の体育教官室で畑の解説を聞き、ボトムアップ理論の原点となった広島大河フットボールクラブ(FC)の浜本敏勝総監督と会い、同理論で全国制覇を達成した広島観音高校も視察するなど忙しく駆け巡った。 広島へ足を運ぶ段階で、既に選手たちには堀越高校もボトムアップ方式にシフトしていくことを伝えていた。決断を力強く後押ししたのは、波崎
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