『かたちだけの愛』の刊行記念サイン会には、たくさんの方にお越しいただき、ありがとうございました! 既に読了された方からの感想も、続々と届いておりまして、うれしい限りです。 僕の小説は、テーマには連続性がありますが、作風は一作ごとにかなり違います。インタヴューでもよくそのことを質問されますが、重要なのは、「世界感」だと思います。今日はそんなようなお話です。 「世界観」というのは、誰それの「世界観」が好き、とよく言うように、作者のものの見方、世界のイメージです。もちろん、読者にもそれぞれの世界観がありますから、「あの作家は自分と世界観が近い」というような言い方が出来ます。あえて言えば、作者の思想です。 それに対して、「世界感」(造語です)とは、作品が自律した一つの「世界」として受け止められる感覚のことです。その意味では、思想と言うよりは、表現上の問題です。 「世界観」の表現が「世界感」とも言え