『凪のあすから』後半は、熱い涙が止まらない。 ベタな展開が見えているのに滂沱を禁じ得ない。「好きを取り戻したい」」と「好きになっちゃいけない」、そして「この気持ちは誰のもの?」が交錯し、打ちのめされたり裂かれたり。ラスト3話はタオル用意して正解、今まで体感してきた「切ない気持ち」が、完全に上書きされた。そのテーマがこれだ。 もし、「人を好きになる気持ち」を奪われたら、その女の子は別人になるのか。 もちろん、過去のことは覚えているから、いわゆる記憶喪失ではない。ただし、「人を好きになる気持ち」に結びつく言動を思い出そうとすると、霞んでしまう。一種のマインドコントロールといっていい。この描き分けが凄い。(洗脳の典型である)瞳の色だけでなく、「人を好きになる」方へ向かいそうになると、微妙なしぐさで「らしくなさ」が表れる。まるで別人のように。『凪のあすから』は、フィクションではお約束としての「記憶