立憲主義の本質は、国家権力の恣意的行使を制約することにある。 国家の役割がきわめて肥大化してきている今日、国家の機能もそれだけ大きくなる。それと同時に、ともすれば国家はその権力を濫用(らんよう)するおそれがある。そのような権力の暴走を阻止するのが、立憲主義の根本的な考え方である。国家権力が恣意的に行使されているかどうかは、民主主義のルールによって定まる。 ≪国民の遵守義務は「理の当然」≫ 第2に「憲法を守らなければならないのは、国家権力保持者であって、国民ではない」と唱えられる。その根拠としてあげられるのが、憲法99条の規定である。「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」。ここに国民が入っていないことを理由に、国民は憲法尊重擁護義務を負う必要はなく、またそれが立憲主義の原則にかなうと主張される。
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