最近、ボトリオコッカス・ブラウニーという藻のことが話題になっていると聞いて、ああそうなのか、と何か格別の思いがよぎりました。実は私自身が、以前この藻の実験研究をしていたからです。この藻のことを知ったのは1990年頃のことで、当時私はまだ会社勤めをしていて、東北大学に派遣され、生化学の実験研究をやっていました。ある日、研究室に、アメリカのソルト・レーク・シティにあるユタ大学からポールターさんという教授が訪ねて来られ、このボトリオコッカスの生合成経路について講演されたのです。この藻は、俗っぽくいうと、「石油をつくる藻」なのです。微生物的な単細胞の藻ですが、淡水中で、集合してコロニーをつくって生育し、そのコロニーの細胞間に大量の油分(炭化水素)を保持しています。この油は、もともとオイルシェールとか、スマトラの原油とか、化石燃料の成因のひとつになったものだそうです。 そのポールター教授の話を聞き、