資源回復のため漁獲上限を設けている太平洋クロマグロの管理に北海道が失敗し、全国のマグロ漁業者に不安と不満が広まっている。7月に新しい漁期が始まってまだ4カ月。漁獲枠を共有する20道府県の定置漁業者は、北海道での取れすぎのため漁の自粛を余儀なくされた。これから本番を迎えるサケやブリの定置網にクロマグロが混じって捕獲されることも多く、定置網での漁獲超過が続けば、釣り漁船の枠が削減される可能性もある
9月1日、韓国・釜山で開かれていた地域漁業管理機関「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)」の北小委員会(NC)が閉会した。日米など10カ国・地域が太平洋クロマグロの資源管理などについて話し合う国際会議だ。クロマグロは高級寿司ネタの本マグロとして親しまれているが、絶滅危惧種にも指定されている。 太平洋クロマグロの2014年時点の資源量は、漁獲がなかったと仮定した初期資源量のわずか2.6%(1万7000トン)と推定されている。これまでWCPFCでは「2024年までに4万1000トンまで資源量を回復」とする暫定目標で合意。日本もこの目標を基に漁獲枠制度を始めていた。しかし、昨年末にWCPFCは長期目標を「2034年までに13万トンまで回復」とするようNCに要請した。 資源保護の目標を大きく引き上げるWCPFCの要請に日本の水産庁は当初、「現在の規制でも十分」と反発。その後、態度を軟化させたも
かつて漁業大国として名をはせた日本。しかし、水揚げ高は大きく減っている。資源管理は全く野放図というわけではないが、対象となる魚種が少ないなどの課題がある。TAC(トータル・アローアブル・キャッチ)と呼ばれる漁獲可能量があり、サンマ、スケトウダラ、マアジ、マイワシ、マサバ・ゴマサバ、スルメイカ、ズワイガニの7魚種に適用している。TACは7魚種それぞれの資源動向などを調査して決めた生物学的許容漁獲
各テーマの専門家に原稿を依頼したり、取材してまとめたりした「識者評論」「視標」、編集委員や論説委員、専門記者らが執筆した「核心評論」を随時アップ。 東京五輪の大会組織委員会はこの3月、大会で供される水産物に関する調達コードの第1版を発表した。五輪では回を追うごとに環境への配慮が重視されるようになっている。ロンドン大会では水産物は全て環境や資源保護に配慮した「持続可能な漁業」から調達されるべきだとされ、これはリオデジャネイロ大会にも引き継がれた。 東京五輪もこのバトンを引き継ぐはずだったが、残念ながら発表された調達方針は、持続可能な漁業への配慮からは程遠く「失格」と言えるものとなっている。 コードは、水産物は国産を優先するとともに、「海洋管理協議会(MSC)」や「水産養殖管理協議会(ASC)」という国際的に権威ある水産物認証製品のほか、「マリン・エコラベル・ジャパン(MEL)」や「養殖エコラ
Yasuhiro Sanada's blog on the global environment, ocean, and fisheries 福島民友に掲載された拙寄稿記事「水産物の調達方針「失格」」【福島民友2017年7月23日=共同通信配信】のテキストを以下転載します。なお、テキスト最後の写真は新聞には掲載されていません。 ================================================================= 東京五輪の大会組織委員会はこの3月、大会で供される水産物に関する調達コードの第1版を発表した。五輪では回を追うごとに環境への配慮が重視されるようになっている。ロンドン大会では水産物は全て環境や資源保護に配慮した「持続可能な漁業」から調達されるべきだとされ、これはリオデジャネイロ大会にも引き継がれた。 東京五輪もこのバトンを引き継ぐはずだ
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水産庁は1日、韓国・釜山で28日から開かれる国際会議で、日本近海を含む北太平洋海域のクロマグロの新たな漁獲規制案を提案すると発表した。親魚(30キロ以上)の資源量回復の目標達成が危うくなれば、現行の漁獲枠を削減する一方、達成が見込める場合は漁獲枠を増やす。昨年の会議で日本の提案に反発した台湾や米国が、今回の新たな提案に同意するかが焦点となる。 国際会議は中西部太平洋マグロ類委員会(WCPFC)の北小委員会。太平洋クロマグロの親魚の資源量は、1961年の16万トンをピークに2014年は1万6000トンまで減少し、近年は最低水準で推移している。WCPFCは24年までに親魚の資源量を4万1000トンに回復させることを目指している。
「国破れても漁港あり」 これは水産庁の大物OBの言葉である。中国の高名な詩家、杜甫の詩になぞって、「例え国がなくなっても漁港は残るべき」とする主張は「漁港利権」というものを理解するうえで、とても分かりやすい。 (夕刊フジ) わが国の水産業のピークは生産量で1282万トン(1984年)、生産額で2兆9772億円(82年)だったが、90年ごろから衰退しはじめ、現在は生産量で479万トン、生産額で1兆5057億円だ。漁民1人当たりの所得も、84年の229万円から2014年には199万円と落ち込み傾向にある。 はっきり言って、このままでは漁業で飯を食っていけず、成長も期待できないのである。 そうした漁民の生活を陰で助けているのは漁港予算である。漁港で工事するとなると、漁港を作る建築業者にお金が落ちるだけでなく、併せて「漁業補償」「監視船委託」などの名目で漁民にも所得が落ちるのだ。わが国の水産予算は
「マグロの王様」と称されるクロマグロ。日本近海に生息する太平洋クロマグロは、初期資源量(漁獲がないと仮定した場合の資源量)比2・6%にまで減少した「絶滅危惧種」としても知られている。日本はこの資源の半分以上を漁獲しているが、資源管理に後ろ向きであることから、国際的批判が高まりつつある。 太平洋クロマグロは「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)」という国際機関で管理され、この委員会が管轄する資源のうち、北太平洋に主として生息するものについては、「北太平洋まぐろ類国際科学委員会(ISC)」が資源評価を実施している。 このISCは2017年4月、内外の関係者が一堂に会した国際会議である「太平洋クロマグロ・ステークホルダー会合」を東京で開催した。今後どのような方策を取れば資源は将来どのようになるのかISCから報告を受けた後、内外の関係者が率直に意見を出し合い、前広(まえびろ)に話し合うためであ
世界的に資源量が極端に減り、絶滅危惧種という扱いになっている太平洋産・クロマグロの漁業規制を無視した漁獲が、国内で相次いで発覚しました。 クロマグロ以外にも、ウナギの稚魚である“シラスウナギ”、ナマコ、アワビなどの最高級魚介類密漁の摘発が多くなっており、しかも増加傾向にあるのです。 漁獲について定めた法律や規制を無視する漁業を「違法・無報告・無規制(IUU)漁業」と呼ばれており、その根絶は国際的に大きな課題となっています。 日本はIUU漁業防止のため、国連食糧農業機関(FAO)の国際協定を本年5月に批准しました。 世界的に水産物を多く消費しており、また主要漁業国として、日本はIUU漁業の根絶に乗り出しています。 現在、日本国内のクロマグロ漁獲量について水産庁では国際資源管理機関の中西部太平洋まぐろ類委員会での合意によって、30キロ未満の未成魚の漁獲枠を4007トン以内とするなど漁獲規制を導
昨今、東京五輪・パラリンピック関係の報道が喧(かまびす)しい。目下の関心は膨れ上がった開催費用を誰がどのように分担するのかに絞られているようである。 こうした喧騒に紛れるかたちで、大会組織委員会は2017年3月、大会で供される水産物の調達方針に基づき、調達コードの第1版を発表した。 東京五輪は開催都市や開催国が大会を通じて「ポジティブな変革を促し、それらをレガシーとして未来へ継承していく」ことを基本理念と謳っている。 こうしたレガシーとして近年から引き継がれてきたものが、地球環境や持続可能性に配慮した大会運営という考え方である。大会運営はコンパクトで環境に過度な負荷をかけず、物品の調達も環境に配慮したものを選択する。 水産物を含め食品についても同様である。大会で実際に消費される水産物は、大した量ではないかもしれないが、それを契機に持続可能なシーフードの潮流がレガシーとして生まれることが期待
Yasuhiro Sanada's blog on the global environment, ocean, and fisheries 先日早稲田大学で開催された国際シンポジウム「水産物の透明性と持続可能性」ハイライトの続きです。 第2日目のセッション3では「水産物の透明性と持続可能性の実現に向けた政策・取組み」と題された発表では、井田徹治・共同通信編集委員より「日本のIUU漁業:その現状と対策」と題する講演が行われました。 「IUU(違法・無規制・無報告)漁業」というと、なんだか遠い外国の話のようにも聞こえます。事実、第一目のセッションでは日本側講演者は、主として日本近隣でのIUU漁業が取り上げられました。 しかし、密漁・脱法・無報告操業は勿論「IUU漁業」そのものです。 残念ながら日本では水産物のトレーサビリティ確保の取組みが著しく遅れているのみならず、密漁・脱法操業が蔓延してお
高級すし食材として珍重される太平洋クロマグロ。日本に割り当てられた幼魚(30キロ未満)の漁獲枠を超えたと大きく報道された。絶滅の恐れがあるのに、なぜ国際的な約束を守れないのか。その背景を探った。【井田純】 国際機関で定めた日本の幼魚の漁獲枠は今年6月末までの1年間で4007トンだったが、2カ月を残した段階で超過した。 体重30キロのクロマグロはだいたい3歳魚にあたる。この段階で産卵可能な成魚の割合は約2割で、人間なら大人になる手前だ。4歳魚で産卵可能なのは半分程度、5歳魚で100%となる。5歳魚で体重100キロ前後となり、その後300キロ以上に成長する。幼魚を乱獲すれば絶滅の道をたどるのは自明だが、北太平洋マグロ類国際科学委員会(ISC)の統計では、今の漁獲は98%(匹数ベース)を0~2歳魚が占める。
カナダのプリンスエドワードではシーズンになると300キロを超すクロマグロが連日何本も水揚げされる。この海域で獲れるクロマグロのアベレージサイスは350キロ以上である。 先月参加した北太平洋まぐろ類国際科学委員会(ISC)主催の太平洋クロマグロステークホルダー会合で同じ質問を繰り返す沿岸漁業者の声を聞いた。はじめのうちは「皆さん、礼儀正しいなあ」と感心して聞いていたが、午後には「あれ~?」「なんで同じことばかり言うんだろ」と疑問を感じてきた。 「これはどこかから送られてきた作文を読んでいる。」 その会合の詳細はここ 「豊かな海へ、腐敗と戦う」 http://uminchumogi.blog111.fc2.com/blog-entry-462.html そして数日後に、その作文(発言フォーム)を入手した。 某漁業組合長「海にはたくさんのマグロがいるにもかかわらず・・・」 どっからこんな言葉が出
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