淀川長治の一般的イメージは温和だが、書かれた文章『映画千夜一夜』等を見ると蓮實重彦をシュトロハイム『愚かなる妻』に出てくる「ニセ伯爵」と呼んだり、山田宏一も子供扱い。二人とも淀川さんに頭を垂れている、それぐらい凄い。 内田吐夢監督の『限りなき前進』のオリジナル版など現存していない映画ですら生き生きと語ることも出来た唯一無二の存在。蓮實さんも「突然変異」と称す。 そして活字がおそろしい。たまに「日曜洋画劇場」をけなしているんじゃないかと思う文章に出会うこともある。(ここで雑誌『サントリークォータリー1991年の36号』を参照) ここで淀川さんは映画がつまらなくても「ただ無駄なことは言わない」と言っている。 日曜洋画劇場でノってるとき・ノってないとき、そのあたりを意識せずとも見る側も感じとって、無意識のうちに啓蒙されていた。つまり語りの中で「シュールレアリスム」とか「モンタージュ」とか言われて