東京-名古屋をわずか40分で結ぶ予定のリニア中央新幹線。その途中駅の設置をめぐって今、山梨県が熱い。「各県1駅」が有力視されるなか、今年に入って4地域の綱引きが急加速。「支線を」との声まで出ている。予定ルート上にある他県(神奈川、長野、岐阜)にはまだ、そこまでの盛り上がりはない。なぜ、山梨だけ?【沢田勇】 その理由は山梨リニア実験線にある。財団法人「鉄道総合技術研究所」とJR東海が運営し、97年に大月市-都留市(18.4キロ)で走行実験を始めた。元自民党副総裁の故金丸信氏が誘致したと言われている。県リニア交通課は「素通りさせるために実験線を誘致したのではない」と断言する。「リニア交通課」なる部署があるのも、全国で山梨県だけだ。 県は鉄道総研に技術開発費134億円を無利子で貸し付け、実験線工事のための残土捨て場まで用意した。総額200億円もの県税を投じており、見返りとして駅の設置は当然という