政府が「デフレ宣言」を出し、それに押されるように日銀がデフレ対策を取るなど、デフレが悪の元凶のように思われている。しかし日本のデフレは1~2%程度のゆるやかなもので、デフレスパイラルに陥る心配はない。90年代以降、世界的に起こっているdisinflationの最大の原因は新興国の世界市場への参入による相対価格の変化であり、これは先進国の購買力を増す。歴史的にも、デフレと不況に必然的な関係ない。 他方、インフレ(特にハイパーインフレ)で経済が破綻した例は数え切れない。これは貨幣が「人々がその価値を信じているがゆえに価値がある」という同語反復的な存在であることによる。人々が貨幣の価値を疑った瞬間にその価値は失われ、その信用を取り戻すことはできないのだ。特に近代以降は、中央銀行が貨幣を発行するようになったため、その価値は国家の権威と結びつき、インフレによって国家が崩壊することも珍しくない。 最初
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