【パリ時事】中国の南京事件(1937年)に関する資料の世界記憶遺産登録に反発する日本からの資金が絶たれることになれば、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が受ける打撃は大きい。 米国は今回の問題とは関係なく以前から分担金の支払いを停止しており、ユネスコの台所事情は既に火の車。現状でも事務所閉鎖や事業中断といった経費節減策を実施中で、関係者は息を詰めて成り行きを見守っている。 日本政府はユネスコへの資金拠出見直し検討に着手した。菅義偉官房長官は「停止を含め検討したい」と表明。記憶遺産決定過程の透明性を確保するための改革を促す。 ユネスコでは加盟国が経済力などに応じて運営資金を負担し、2014〜15年の予算総額は6億5300万ドル(約780億円)。日本は負担割合が10.8%と米国(22%)に次ぐ。14年は任意の拠出金も合わせると、42億円超を提供した。米国はユネスコがパレスチナの加入を認めた