だいぶ日が空いてしまったけど、映画『リズと青い鳥』の感想メモです。すごい映画で、一年分の集中力を2時間に注ぎ込んでしまった。 冒頭の朝のシーンの足音。リズの足下の花、教室の地べたに座るフルートの下級生と椅子に座る希美たち先輩、音楽室の床にみんなで膝をついて敷くマット――本作では執拗に天と地の対比、というより〈地〉を意識させる作りになっている。さて、地面に縫いつけられていたのは誰で、縫いつけていたのは誰でしょう? 本作は基本的に学校とそのほんの延長上の空間だけを描いているので、あの映画でいちばんファンタジーに聞こえるのは「北宇治」っていう校名・地名だ。「コンクール」「本番」という単語は頻繁に口にされていたけれど、「地区大会」「府大会」という語は慎重に避けられていた。「全国」も優子部長が今年の目標は全国で金だと決めましたと言及していたシーンだけ? 少女たちにとって自身の将来との時間的な距離感が