中世ヨーロッパの都市は十世紀頃から地中海沿岸の北イタリアと北海沿岸の低地地方(ネーデルラント)を中心に発展し、次第にヨーロッパ各地に広がった。本書は、ベルギー・オランダ中世史の第一人者であるベルギー・ヘント大学教授マルク・ボーネが十四~十五世紀のネーデルラントにおける都市の発展とブルゴーニュ公国の支配についてまとめた論文集である。 近世、覇権国家として君臨するオランダの諸都市がいかにして築かれていったか、中世後期、ホイジンガの「中世の秋」でも名高いブルゴーニュ公国の繁栄と、ブルゴーニュ公権力と都市との緊張関係が何を生み出したかが丁寧に描かれている。 本書は三つの論文で構成されている。 第一論文「中世後期ヨーロッパの都市 近代性の兆候と災禍”Cities in Late Medieval Europe : the Promise and the Curse of Midernity”」は西ヨ