中世ヨーロッパで十字軍運動の一環として行われたと伝わる少年十字軍の逸話をモティーフにして少年たちの残酷な運命を描いた歴史漫画の傑作の一つです。 「少年十字軍」は1212年、北フランスの都市ヴァンドームに近いクロイス・シュル・ル・ロワールに住む羊飼いの少年エティエンヌが神の啓示を受けて多くの少年少女を引き連れて聖地奪還に向かったが、マルセイユで奴隷商人に売られ、ことごとく悲劇的な最期を遂げたという逸話です。同時期にドイツでニコラスという少年が率いた少年十字軍もあったがやはり同様の結末であったと言われます。 この「少年十字軍」について、現在の研究では事実であったとは考えられておらず、少年少女に留まらず老若男女多くの民衆による大規模な移住、あるいは民衆たちによる聖地エルサレムを目指した巡礼のような民衆十字軍の一種であったと見られています。語り継がれるうちに「純粋無垢な子供たちの悲劇」という伝承に