初出は1887年。もはや原文を読むことはかなわない。そこで桑原武夫による現代語訳でよむ(とはいえ「メートルがあがる」なんていう昭和20年代の流行り言葉がでてくるので、「現代」と呼ぶにはちょっと。「メートルがあがる」の意味がわかる人はすくなくなったはず)。 内容は、南海先生、洋学紳士、豪傑君の3人による政体論、戦争論など。それぞれがどのような主張をしているかは別に詳しいし、とくにここで要約することはしない。解説では、洋学紳士の子孫が馬場辰猪とか幸徳秋水などののちの社会主義運動に通じていき、豪傑君は北一輝のような民族主義運動につうじていくという。その点で、ここに書かれた思想は後の日本思想の流れを予測しているものだという。南海先生の穏健派もまたひとつの龍脈をもっている。 自分が面白いと思ったのは、 ・豪傑君の主張は、戦争の感情的な肯定で、隣国に没落している国があれば、さっさと占領しわが国の思想で
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