首輪がちぎり取られ、四肢に酷い手傷を負ったチコ。6kgを越える夷丈夫の彼を凌ぐ戦闘力の個体に襲われたと考えるしかないらしい。悪意の人間や犬だったら彼は戻って来られなかったかもしれない。 ワイフが病院に慌てて連れて行きーこの時も夫婦で大騒ぎしてケージに入れて私が出勤したあと、扉を壊し、脱走したとのこと。ワイフは一人で彼を洗濯ネットで再捕獲。そして治療して連れて帰ってきた後、再び脱走して戻らず。 その日、夕方から氷点下のフィールドに登ることになっていた私は装備を取りに帰宅した際に、声を張り上げて彼の名を呼んだ。 メダケの藪から声が還ってきて、チコが右前足を引きずりながら出てきた。そっと肩に担ぎ上げると家まで連れて帰った。 そのまま閉じ込めたが、朝、玄関が開いた一瞬の隙をついて脱走。賢い彼は鍵の開く音に合わせてで奥から全速力で走りこんだ。三本足で走り出て行った姿にワイフは立ち尽くすしかなかったと