天野健太郎さん(左)、台湾の漫画家・魚夫さん(左から2番目)、台北駐日経済文化代表処 台湾文化センター長・朱文清さん(中央)(2017年9月、写真:台北駐日経済文化代表処 台湾文化センター提供) 亡くなった人物の生き様や功績を書くことを評伝と呼ぶ。私がこれから書くのは、先日、47歳の若さですい臓がんのために亡くなった台湾文学の翻訳家・天野健太郎氏の評伝ということになるのだが、正直、編集部から執筆の打診を受けて書くことは了解したものの、この原稿を書くことに今なおためらいがある。なぜなら、天野氏は私にとっていささか身近すぎるところがあり、フェイスブックなどにコメントをつぶやく気にもなれず、訃報に接して今なお気持ちが整理できていないからだ。 同志であり、ライバルであり 天野氏とはお互い忙しいので年に何度か会うだけだったが、しばしば、話題は日本における台湾認識の問題になった。日本の台湾に関する情報