本稿は長文ですが、以下の構成になっています。1~3は検察庁法、国家公務員法の従前の政府解釈をまとめ、4で2020年通常国会での政府による解釈の変更の内容を検討し、5でその解釈の変更が成り立たないことを述べます。 1 検察庁法の退官(定年)の規定は例外的延長制度を置かない趣旨 2 国家公務員法と検察庁法の特例の関係 3 検察官には国家公務員法の定年制度は適用されないこと 4 今国会で示された「解釈の変更」 5 安倍政権による「解釈の変更」は成り立たない 1 検察庁法の退官(定年)の規定は例外的延長制度を置かない趣旨 検察庁法が制定された1947(昭和22)年の帝国議会では、検察官の63歳の退官(定年)制度についても議論がされています。興味のある方は下記の議事録を読んでいただければと思いますが、長文なので要約すると、 裁判所法における最高裁判事の退官年齢が70歳とされたこと新憲法(日本国憲法)