ケニアの首都ナイロビのキベラ地区で新型コロナウイルスワクチンを接種する看護師。新型コロナ対策に看護師は欠かせない存在だ=2022年1月20日、AP 新型コロナウイルスの流行が、貧しい国の看護師不足に拍車をかけている。富裕国が自国の人手不足を補おうと外国からの雇用を増やしているためだ。国際看護師協会(本部・スイス)は1月に発表した報告で「国と国との間で不平等がさらに広がる」と警告した。途上国からは「看護師の流出で医療崩壊が迫っている」との悲鳴が聞こえてくる。 先進国の看護師16%が外国出身 看護師の移住はコロナ以前から始まっていた。経済協力開発機構(OECD)の2020年5月の発表によると、OECD加盟国全体の看護師の約7%にあたる約55万人が外国で看護師になるための教育を受け、約16%にあたる約152万人が外国出身だった。移住先は米国、ドイツ、英国――の順に多く、データのある32カ国中27