“ハーフカメラ”と言われても、今では何のことだか分からない人も多いと思う。よくレンズの画角を「35mm換算で~」などというが、これは長らく35mmフィルムが撮像面だったからだ。今は撮像素子のサイズがAPS-Cやフォーサーズといった、35mm版よりも小さな撮像面が登場しているが、大昔にも小さな撮像面を用いるカメラというのが存在した。 それがハーフカメラである。一般のフィルムで1コマ撮るところを、サイズを半分にして2コマ撮れる。横長の画角を半分にするわけだから、当然、縦長が基準になる。写真で考えると変な感じだが、それはフィルムが横に走るから。映画の場合はフィルムが縦に走ることになるので、実はこのハーフというサイズが、映画では35mmの標準である。 ハーフカメラは戦前から存在したが、国産カメラメーカーが勃興し、日本でブームになったのは、1959年から1967年ぐらいまでの約10年弱の間でしかない